外国為替取引で生計を立てるFXトレーダー。
2005年アパレル貿易会社退社後、人生を模索中にFXに出会う。
FXや暗号通貨(リップル)のトレーダー、九星気学のコラムニストとしてメディアで活躍。
自著に 『FX 7つの成功★レッスン』(宝島社)がある。
<公式ホームページ> 「Sarah's Official Site」
<公式ブログ> 「新・脱サラ女sarahのFX日記」
「ハードルもリスクも高そう」「どういった人がトレードをやっているのだろう」など、いろいろとわからないことが多いFXの世界。
このたび、トレーダーとして活躍されているSarah(サラ)さんが、実体験を元に書かれた私小説『わたし、すっぴんジャージで「億」を稼いでます。』を発売されました。
実は、トレードと人生って似ているんです。
そして、FXってちゃんと知れば危険なものではないんです。
人生にもお金にも悩めるブークス女子が、お金を活かすことで見える人生論などを、Sarah(サラ)さんにお伺いしてきました!
――― Sarahさんは以前、FXのノウハウ本を出版されていますよね。
今回はノウハウ本というわけではなく、小説というスタイルで出版されたのはなぜですか?
2006年くらいから続けているブログがあるんですけど、そこでFXや日常のことを書いていたんです。
そうしたら、幻冬舎の方がブログを読んでくださって。
今あるようなFX本という形ではなくて、女性の生き方を提案できるような小説を書いてほしいということで、お声をかけていただきました。
――― タイトルにある『すっぴんジャージ』と『億』は、対象的なものとして映るのですが、タイトルはどのようにして決まったのでしょうか?
(湯浅さん ※本書の担当編集者) FXって、世間で思われているような「一足飛びに稼げるもの」というわけでもないし、資産家だけが取引するような特別な世界でもないんですよね。
そこで、女子が自宅で稼いでいるリアルさや素朴さなど、そういう日常の延長上にFXがあるというのが出せたらいいなと相談するうちに決まりました。
――― 表紙の写真ですが、ジャージ・裸足・掃除機というところに、とてもおひとり様感を感じたんですよね。
あの、私もひとり暮らしなんですが……実はこの掃除機、持ってます(笑)
私も持ってたんですよ~!(笑)おひとり様感ありますよね!
――― 読者層はどうですか?
男女比は半々です。意外と男性の方も読んでくださっていて。
女性向けに書いたつもりだったので驚きました。
投資って9:1くらいの割合で男性が多いので、投資に興味があるという入り口で手に取られるのは、男性のほうが多いようですね。
意外と男性の方も「泣いた」と言ってくださって、「そうなんだ~!」と思ったり。
――― 男性が共感されるのは意外ですね…! 全体的に、どういった感想が多いのでしょうか?
男女でまっぷたつに分かれましたね。
女性には「彼とはその後、どうなったの?」って聞かれるんですけど、男性には「結局いくら持っているの?」って(笑)
――― (男性と女性で)見るところが全然違うんでしょうね!
あと、女性からは「実は私も…」という、共感の声が多かったですね。
例えば、「メール一通でフラれたことがある」とか、「私も貯金が全部なくなっちゃって……」とか。
みんな同じような経験をしてるんだ!と思いました。
――― 帯文の「彼氏もいないし、出会いもない。キャリアも貯金も全然ない。」というのに、私はグッときてしまったんです。
たぶん、この先の人生に対して、漠然とした不安を抱えている女性は多いのではないかなと思います。
(湯浅さん) 帯文については、ずいぶん言われましたね。
私の周囲では男女問わず、みんなこの三行にドンズバでやられてました!
当初は帯裏に入れるつもりだったんですけど、前に持ってきてほしいという意見が多くて、常にみんなが気にしているところなんだろうなというのは感じました。
――― 以前は、アパレル貿易会社で働かれていたということですが、FXを始められてから仕事やお金を稼ぐことについて、何か考えは変わられましたか?
今は、お金を稼ぐことよりも、稼いだお金をどう使うかということのほうが大事だなと感じています。
FXや投資で稼いではいるんですけど、人から感謝されるわけではないし、「ありがとう」と言われることがない。
数字だけの世界なんですね。
だから、今でも葛藤はあるんです。
「自分をどう納得させようか?」って。
――― 小説では、トレーダーとして仕事とどう向き合うか悩んでいるとき、恋人が「アンパンマンのマーチ」を歌ってくれるシーンがありますね。
そこで、主人公はお金を稼ぐことより、そのお金をどう使うかを考えることが大切だと気づくんですよね。
たぶん、投資とかやられている人たちって、みんな同じことを思っているんじゃないかと思います。
――― Sarahさんは、お買い物のときなどお金の使い方でこだわっている点はありますか?
費用対効果をついつい考えてしまいますね。
価値が下がりにくいものは、高くてもいいものを!とか。
例えば、電化製品などの消耗品や、価値が下がりやすい洋服にはお金をかけないんですけど、仕事道具のパソコンとか、アクセサリーとかにはお金をかけますね。
――― 「お金が入ってきたから使ってしまおう!」という感じではないんですね。
例えば、サラリーマンの場合は定期的に入ってくるお金(お給料)がありますよね。
FXにはそういった定収が無いので、増えるときもあれば減るときもある。
今後の収入について予測が立てられないんですよ。
立てられる方は素晴らしいトレーダーさんだと思いますけど、そうもいかないこともありますからね。
――― (定収が無いことに)不安を感じられることはありますか?
もちろんあります。
でも今は家族を養っているわけではないし、自分ひとりだったら何とかなるし、仮に貯金がゼロになったとしても他でも働けるし、とは常に思っていますね。
――― そういったポジティブな考え方が、小説の中ではすごく出てますよね!
ひとりって怖いけど、その反面で怖くないところもあると思います。
失うものも無いから、割と自由に何でもできるというか。
そうそう、そうですね。
――― 小説の中では、FXやプライベートで起きた失敗もたくさん出てきますが、そういった大きな経験がSarahさんの度胸の大きさ、冷静な分析力に繋がっていったのでしょうか?
トレードから教わっていることのほうが多いかもしれないですね。
FXって、どこか一線を引いて冷静になれないと、大きく負けたり引きずり込まれたりする世界だと思うんです。
トレーダーとして着実に技術を積み上げていく過程で、ふと感情が先行しがちな恋愛を同じ目線で見てみると、FXではきっちり一線が引けているものが、恋愛だと引けていないことに気がつくんだと思います。
トレードではこれ以上損しないようにマイナスでも決済できるのに、彼とはずるずる別れられていない……とか(笑)
――― 世間では、お金に対する不安を抱えている方も多いと思うのですが。
ある雑誌が行ったOLさんへのアンケートで、「今の生活を楽にするには、月にあといくら必要?」に対して一番多かったのが「1万円」という回答だったんです。
月1万円収入を上げるということは、年収を12万円上げるということですよね。
これって結構大変なことだと思うんです。
ただ、貯金が100万円あるとしたら、投資でいうと1万円って月利たった1%なんですよ。
リスクとリターンを同等と考えた時、100万円の中の1万円をリスクに使って1万円のリターンを得るという発想ができるわけです。
月1万円って、飲み会2~3回分くらいじゃないですか。飲み会ならば、その場で楽しんで終わり。
でもそのお金の一部でも投資に回したら、リターンが期待できるかもしれないんです。
10%とか20%を狙おうとすると、100万円のうちの10万~20万だとリスクも高いし怖いじゃないですか。
でも1%で考えれば、そんなにハイリスクなことではないと思うんですよね。
――― お金に対して別の側面から考えてみることが大事ということですね。
何事もリスクを取らないとリターンって得られないじゃないですか。
つまり、リスクとリターンは表裏一体。
恋愛でも「この人でいいのか」って自分でジャッジして、その人との将来に対してリスクを張るわけだし。
リスクを張るのはそんなに怖いことではなくて、誰でもやっていることで、張り方をちゃんと勉強すれば怖くないと、わたしは思いますね。
――― お金のこともきちんと勉強すれば、ちゃんと自分の元に返ってくるという。
もしかしたら、今の会社に留まることもリスクかもしれないじゃないですか。
経験を積めればそれはリターンだし、ただいるだけだったら時間のリスクですよね。
今の会社にいることでスキルを得られる確率が高ければ、まだいたほうがいいし、私の場合はそういう風にいつも確率で判断することが多いですね。
――― 自分の中で「何割ならOK」と基準を決めておけば、いろいろ物事を冷静に見ることができて決断しやすそうですね。
あと、章ごとのタイトルに相場の格言が使われていますが、これはSarahさんが選ばれているのでしょうか?
私が「いいな」と思った格言を選びました。
好きなのは「山高ければ谷深し」なんですけど、私としては「谷深ければ山高し」と思っていて。トレードのチャートって、上にのぼったらさがるし、下にさがったらのぼるというサイクルになっているので、人生も同じだと思うんです。
ずっと調子いいと思っていても、いつかはさがる。
逆にツイてないと思ってても、また上がる日がくる。
だから波で考えると、チャートも人生そのものだなって。
あと、見出しとして章の内容が見えるような順番で並べています。
「見切り千両、損切り万両」(※)とかはわかりやすいですよね。
※「損失は執着せずに切り捨てて、次の利益を狙うこと。損失を広げないために、ある程度の損を覚悟で売買しなさい」という格言
――― わたし、それが一番好きです!(笑)
恋愛とかでも、もう相手とは気持ちが通じあっていないのに、頑張って繋ぎとめようとすればするほど、逆にどんどん気持ちが離れてしまいますよね。
だから、「わかる!」と思ったんです。
――― 登場人物の中では、玲子ママの印象がとても強かったです。
名言も多いので、玲子ママのところにばかり付箋を貼ってしまったんですけど……(笑)
(玲子ママのこと)どう思いました?
――― お金って、こういう人が稼ぐんだろうなと思いました。
払いもすごくいいじゃないですか。リッツカールトンのスイートで女子会を開いてしまうとか。
象徴的なキャラクターですよね。
(玲子ママは)お金に対してすごく執着があるタイプなんです。
たぶん、トレーダーさんの典型的なタイプって、こういう印象ありませんか?
稼ぐことが好きなんですよね。
こういう人がいても普通だろうなと思いますし、学んだことはすごく多いです。
――― あと、小説にも出てくる元同僚のミキさんは、実際にブログもやられていますよね。
小説の中で主人公とミキさんが久しぶりに会うシーンがあり、ミキさんが当時のことをブログで書かれていたのですが、アナザーストーリー的に小説とブログをあわせて読んでも面白いと思いました。
すごい! 読んでくれてるんですね~!
うれしいです。
――― FX初心者は、まずどこから始めればいいのでしょうか。
セミナーや本からスタートしてもいいと思います。
今はFXに関する情報量も多くて無料提供されている情報もたくさんあります。
最初は他の人がツイッターやブログ等で配信する情報を真似してトレードしたっていいと思います。
ただ、それだけでは勝てるようにはなりません。
補足すると、「真似をするにも、ちゃんとした理由付けをする」ことが重要なんです。
例えば、「この人が買うからやろう」というのではなく、「なんでここで買おうと思ったんだろう」という理由付けを自分の中でできるようにならないとだめなんです。
これには相応の時間と努力が必要です。
あと、最初のうちはExcelでスコア表(トレードの記録)をつけていくといいと思います。
面倒臭いかもしれないですけど、負けるのが嫌なら負ける前から始めることです。つけてるうちに、収支のバランスが頭に入ってきますよ。
――― 他にも、これは絶対にやってはいけない! というものはありますか?
貯金がない人は投資をしてはいけません。
トレードには読みきれない落とし穴があると思うし、無くなったら困るお金でやってはいけないものなんです。
余裕が無いところから始めてしまうと、負け始めたときに焦ってリカバリしようとして、どんどんつぎ込んでしまいがち。
だから、気持ちに余裕があるときに、自分にあう幅の中でトレードをしないといけないんです。
(湯浅さん) 例えば恋愛において、「年収3000万円の男性と結婚したい!」と思ったとき、普段の生活の中で年収3000万円の男性にひとりも出会えてなければ、今の環境のままではそういった男性と結婚することは無いですよね。
自分が今何を持っていて、何が足りないのかを知っておくことが大切で、自分が生きている場所で叶いそうにないなら、何か方法を考える必要があると思うんです。
そのあたりは投資も全部一緒で、持っていないもので勝負はできないっていうことなんです。
ないものに勝負をかけてしまうと、大きな傷を負ってしまうことになります。
――― そのあたりをわきまえずに、ボンヤリと将来に不安を抱えているだけではよくないですね。
この小説を読んでいただくと、リスクの幅がイメージしやすくなると思います。
大きく投資すれば大きなマイナスがでる可能性もあるし、(登場人物の)ミキちゃんのように、今の自分の幅の中でトレードすれば、大きなリターンではなくても、それなりのプラスを得られます。
失敗の方程式もよくわかるようで、読者からは「FXってそんなに怖いものじゃないんですね」っていう意見が多かったですね。
――― 飲みに行くのか投資にまわすのか。
お金の使い道について俄然興味がわいてきました!
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わたし、すっぴんジャージで「億」を稼いでます。
Sarah (著)
結婚するために会社を辞めたサラの元に、彼から別れのメールが届いた。幻冬舎 30歳目前、収入も彼もない、どん底からの再出発。 彼から教わったばかりのFX(外国為替証拠金取引)の素人知識とパソコン1台を武器に、資金30万円からのひとりぼっちの闘いが始まった。 収入ゼロのおひとりさま女子が素人知識でFXトレードデビュー。 お金と恋の不安と闘う人達に捧げる、リセットから始まるおひとりさま女子、奮闘の物語。 目次 第1章 2005年 ― 一運、二金、三度胸 第2章 2006年 ― 見切り千両、損切り万両 第3章 2007年 ― 急ぐは負け、待つは機あり 第4章 2008年 ― 思い上がりは下り坂 第5章 2009年 ― もうはまだなり、まだはもうなり 第6章 2010年 ― 山高ければ谷深し 第7章 2011年 ― 朝の来ない夜はない |