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電子書籍 錆びた太陽

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電子書籍-錆びた太陽
著者: 恩田陸
定価 ¥1,404(税込)
BOOKFANポイント: 78 pt
or
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商品情報

出版社名
朝日新聞出版/文芸
eBookJapan発売日
2017年03月31日
対応デバイス
Windows  /  Mac  /  iPhone  /  iPad  /  Android  /  ブラウザ楽読み
電子書籍のタイプ
リフロー型
ファイルサイズ
32MB
関連タグ
小説・文芸
平均評価
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ブクレポ
2件

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錆びた太陽 OFF
恩田陸 OFF

内容紹介

「最後の事故」で、人間が立ち入れなくなった地域をパトロールしているロボット「ウルトラ・エイト」。
彼らの居住区に、ある日、人間が現れた。
国税庁から来たという20代の女性・財護徳子。
人間である彼女の命令に従わざるを得ないロボットたち……。
恩田陸の想像力が炸裂する本格長編小説。

※本データはこの商品が発売された時点の情報です。

書籍一覧 > 錆びた太陽

ブクレポ  ( ブクレポについて

ニックネーム: アーミー 投稿日:2017/10/14

近未来図が見えてくるからご用心!

恩田陸さん、直木賞受賞後の長編第一作め。
内容はちょっと異色の思いテーマだった。

近未来の日本。
原発事故で汚染された地域を巡回するロボットたちの居住区に
ある日突然、若い女性がやってくる。
彼女は財護徳子と名乗り、
国税庁から3日の予定で派遣されてきたという。
だが、ロボットたちには
人間である徳子の訪問が知らされていなかった。
ロボットたちが、そのことを不思議に思っているうちに、
原発事故の影響で
生きた人間からゾンビ(=マルピー)になった生物や
9つのしっぽを持つ化け猫に襲われたりと
不可解な出来事に遭遇していく。
徐々に明らかになる徳子の本当の目的とは・・・

近未来のゾッとする世界像だった。
あの福島原発事故を忘れてはいないだろうが、
それよりももっとひどい状況の世界がこの小説の中にはあった。
そしてほそぼそと成り立つ日本政府は
苦しい財政を補うために、苦肉の策をたて、
国税庁から徳子を派遣したというから、笑ってしまう。
「大昔の昭和という時代」のフレーズにも
苦笑いをしてしまった。

まーちさんも書いているが、
このロボットたちの名前が、泣けてくるほど、懐かしい。
ボス、テキサス、Gパン、チョー、ゴリ、デンカ、マカロニ、
そして、行方不明になっている8体目のシンコ。
昭和時代にお茶の間をわかした
人気TV番組の登場人物のニックネームである。
奇しくも、番組名は『太陽にほえろ!』。
タイトルが「太陽」つながりなのも、
作者の遊び心がのぞくような気がする。
「ボス」という愛称の人は、いつも頭のいい、切れ者のようだ。

サラリと面白く読める未来小説だが、
その内容は奥深く、怖いものを含んでいた。

ニックネーム: まーち 投稿日:2017/05/16

日本人は、原発の恐ろしさを、もう忘れてしまったのだろうか。

近未来の話である。21世紀半ばに起きた「最後の事故」後、紆余曲折を経て、日本の原発は、すべて廃炉になった。
しかし、その「最後の事故」の結果、日本の国土の2割に迫る面積が、立入制限区域になってしまったのである。
近隣住民のうち、3万人余りが、急性放射線障害で死亡。
ところが、亡くなったはずの住民が、ゾンビ(通称・マルピー)となって、蘇ったらしいのだ。


「ウルトライエイト」と呼ばれる、人型AIロボット7体は、制限区域内の監視や、復旧のための作業に従事している。
そんな彼らが生活するキャンプに、突然、若い女性がやってくる。
財護徳子と名乗る、20代後半のその女性は、国税庁の職員だという。
しかし、彼女の訪問は、全く知らされていなかったのである。
彼女は、3日間の予定で、立入制限区域内の実態調査を行うと言うのだが、彼女の目的は、それだけではなさそうなのだ。
そしてそれは、作品の終盤で明らかになる。


とまどう7体のロボットたちだが、ロボットは、人間の命令に従わなければならないという原則があるため、彼女の“調査”に協力することになったのだ。
ところが、その調査の過程で、とんでもないものを発見してしまい・・・


この作品、昭和世代にはたまらない小ネタが満載である。
まず、「ウルトラエイト」のメンバーの名前がたまらない。
「ボス」「マカロニ」「ジーパン」「デンカ」「ヤマ」「ゴリ」「チョー」、これを見れば、何の名前か、すぐにわかるだろう。
さらに、行方不明になっている1体の名前が「シンコ」というのがいい。
この名前、初期のプロトタイプを作ったエンジニアの趣味らしいのだが、付けられた本人たちは、大昔のTV番組の登場人物らしいということしかわからないようだ。
そして、彼らが研究と安全確認(新た化学物質や危険物に反応するため)のために飼育しているネズミの名前が「アルジャーノン」というのが、またいい。
そのほかにも、昭和の、さまざまなものが登場する。


この作品、軽いタッチで書かれているのだが、内容は全く軽くない。
マルピーたちが発見したあるものとは、日本政府が密かに進めている、ある計画と関係していたのである。
その、恐ろしい計画とは・・・?


東日本大震災のあと、一旦は停止された日本各地の原発だったが、徐々に再稼働されつつある。
この作品は、その後の日本の姿を描いたものである。
ゾンビの話などは別としても、本当に、「最後の事故」が起きてしまう可能性が全くないとは言えないのではないだろうか。


軽いタッチの作品の中で、人類への警鐘を鳴らしているような、楽しいけれど考えさせられる作品だった。