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電子書籍 みかづき

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電子書籍-みかづき
著者: 森絵都
定価 ¥1,798(税込)
BOOKFANポイント: 99 pt
or
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商品情報

出版社名
集英社/文芸
eBookJapan発売日
2016年12月02日
対応デバイス
Windows  /  Mac  /  iPhone  /  iPad  /  Android  /  ブラウザ楽読み
電子書籍のタイプ
リフロー型
ファイルサイズ
1.5MB
連載誌・レーベル
集英社文芸単行本
関連タグ
小説・文芸  /  集英社文芸単行本
平均評価
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ブクレポ
2件

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森絵都 OFF

内容紹介

昭和36年。
小学校用務員の大島吾郎は、勉強を教えていた児童の母親、赤坂千明に誘われ、ともに学習塾を立ち上げる。
女手ひとつで娘を育てる千明と結婚し、家族になった吾郎。
ベビーブームと経済成長を背景に、塾も順調に成長してゆくが、予期せぬ波瀾がふたりを襲い――。
山あり谷あり涙あり。
昭和~平成の塾業界を舞台に、三世代にわたって奮闘を続ける家族の感動巨編!

※本データはこの商品が発売された時点の情報です。

書籍一覧 > みかづき

ブクレポ  ( ブクレポについて

ニックネーム: ムーミン2号 投稿日:2017/07/25

満月たりえない途上の月

この本のタイトルがなぜ『みかづき』なのか。
後半も後半、塾経営に粉骨砕身し、時に家庭も顧みず、同じ道を歩む同志であったはずの夫も切り捨ててきた大島千明の孫にあたる一郎(長女・蕗子の長男)が、就職戦線に敗れ果て、弁当の宅配バイトをしながら立ち上げた「クレセント」なる貧困家庭の子女を無料で教える教室の話に至って、ああ、そういうことか、と膝を打った。
「クレセント」とは三日月のこと。


一郎が立ち上げた学習支援教室は、その理想と裏腹に、なかなか航海にでることができずにいた。
生徒は集まらない。4月スタートの予定が、何とか4人の生徒を集めたのは6月。
一郎は、それまで「教育」には関心を示さなかった。いや、多分、祖父母、父親(早くに亡くなってしまった)、母親(公立学校の教員)の様子を見ていたからだろう、「教育」については避けていた節がある。その一郎が教育に関わり始めたのだが、教師でも塾講師でもない道を進む。
小学5年生の男の子に日記を書かせるも、○○がありました、くらいの紋切り文章を1~2行しか書かない彼の、その蒙を啓いたのは戦前の「綴り方教室」だった。しかし、それが高じて、彼の文章がべらんめえ調になるに至り、母親からストップがかかる。
それに打ちのめされていた彼だったが、教室の中3生が全員公立高校に合格した日、テストの点が上昇し、カンニングを疑われた男の子が先生に手紙でそうではない、と訴えたことが認められたことに感激した母親が、その子とともに感謝を述べにくる。


しかし、それで本書のタイトルが『みかづき』というわけではなかった。


一郎のじいちゃん、大島吾郎は高校中退ながら、学校の用務員室で子どもを教えると、たちまち人気を得ていく。その才能に目をつけたのが、大学出の千明。彼女は敗戦後の大人の変容ぶりにイヤ気がさして、文部省を目の敵にし、当時(昭和36年)としては画期的な「塾」という学校とは異なる教育形態を始めていく。
というところから始まる、塾をめぐる奮闘記、なのかなと読み進めていく。
夫婦となった吾郎と千明。その確執はやがて大きくなった組織から吾郎を弾き出してしまうが、その余波は娘(長女の蕗子)と千明の確執も生み、と家族がバラバラになっていく。
ああ、そういう家族三代にわたるクロニクルなのかなぁ? まぁ、波乱万丈の物語は面白いけど、それにしては何をテーマにしているのかがいまいちつかめないなぁ、と思っていた。
文部省(現在は文部科学省)の政策もかいつまんで追う形なので、そちらが主題なのでもないし、塾の存在意義を問うわけでも、その方針の良し悪しを俎上に載せるわけでもない。
そのうち、このレポの冒頭に記した部分に来たのだが、それで『みかづき』ではなかった。


吾郎が56冊目の著書を出版する。自伝『みかづき』。
その出版祝賀会で、吾郎はそのタイトルの由来を話す。先立った妻を偲んでのものだったと。
吾郎の奥さん・千明は「自分は永遠に満ちることのない三日月だ」と言っていた。そして古今の教育書を渉猟した結果、「どんな時代のどんな書き手も、当世の教育事情を一様に悲観している」のだという。「常に何かが欠けている三日月。教育も自分(千明)と同様、そのようなものであるのかもしれない。欠けている自覚があればこそ、人は満ちよう、満ちようと研鑽を積むのかもしれない」…。
満月たりえない途上の月。
それは教育事情に限ったことではないのだろう。
『みかづき』というタイトルの意味を悟るのは、最後の10ページほどの部分だった。
一方で、自分が三日月だと気付きもしないどころか、いつまでも欠けたることも無い望月と思っている人たちもいるのだろうなぁ…。
2017年本屋大賞第2位は伊達ではなかった。


ここからは余談。
ワタシは「塾」に一度も通ったことがない。
学校で一所懸命勉強し、宿題まで出された上に、また学習塾へ行って勉強し、さらにそこから宿題が出るなんて、とんでもなく“しんどい”と思っていたからだ。
その影響というわけでもなかろうが、ワタシの娘も塾にはいかなかった。
その意味では、塾が学校教育をどれほど補完するのか、偏差値教育を煽ったのか、そうでないのか、など塾の良し悪しを云々するような資格はない。

ニックネーム: こたろう 投稿日:2016/10/30

五年ぶりの新作だそうです。

大河ドラマのような小説という印象でした。三代にわたる塾を通して教育にかかわってきた人たちを描いた作品です。


内容紹介にあるように家庭の事情で高等教育を受けられず学校の用務員をしていた吾郎は、その教え上手から落ちこぼれている子供たちに人気がでて、用務員室での「補習」は人気が高まるばかりでした。吾郎の教え方は、教師たちのやり方と異なり、辛抱強く子供が落ち着くのを促し、集中力を高めて自ら問題を解く姿勢ができていくのを「待つ」やり方でした。
その子供たちの中に蕗子という聡明な、なぜ吾郎のもとにやってきているのかわからない女の子がいました。蕗子は母親に命ぜられて吾郎の偵察に来ていたのでした。
そして現れた母親の千明は五歳年上の大学を出て教員資格は持っているものの、当時の国民学校から民主主義へと社会が変動する間に、変節していった大人たちを見て失望し、教員になることを諦め、今はそれまでなかった形の教育の場「塾」をはじめていたのでした。
そのパートナーにと吾郎を望む千明。
手段を択ばぬ情熱的な千明は、吾郎が通ってくる子供たちの母親たちと関係を持っていることを、学校にばらしてでも、吾郎を自分の仕事にひき込みます。
しかし、その時の女癖の悪さが、ずっと二人の関係に影響していくとは千明も考えていないのでした。


教育とは、子どもがどう学び、成長していくべきか、学校という上部組織の意向に左右され、その理念を活かしきれていない感のある現場を見限って、ならば自分たちがという熱意で、偏見や弾圧に耐えながら塾経営を行った二人のその後、そしてその跡を引き継いだ子供たちの軌跡を熱意をはらんだ筆致で一気に描き切った力作という印象でした。


吾郎や千明のほかにも個性的で情熱的な人物が多く登場して物語をにぎわせます。
途中でその教育方針の違いや、吾郎の女癖のせいで袂を分かった二人。
それまで吾郎の目線で描かれていた物語はその後、千明を語り手として成長期から安定期に、そして乱立して競争が激しくなり、文部省のその傘下に塾を収めようとする波乱の時期を迎え、困惑し奔走する千明とその周囲を描いていきます。千明の母親で元カフェの女給をしていて、軽んじられその悔しさを忘れずに生きた頼子も個性的で印象に残ります。


物語は家族のそれでもあり、千明と吾郎が別居し、吾郎が外国に飛び出した後、千明のもとを蕗子も離れていき、情熱的で一度言い出したら引かない性格の次女、蘭や三女で自由人の奈々子などが登場します。


その後、蕗子の長男で一見おっとり、のんびりしているかに見える一郎が、シングルマザーの家庭で勉強できる環境になくて落ちこぼれていく子供たちの存在に気付き、無償でボランティア活動として教育、補習の場を作っていく様子が描かれていきます。


460ページ余りの大作ですが、なにせ情熱的で個性的な登場人物を沢山描こうとした作品なので、細部にまでこだわって描き切れなかった部位をたくさん見ることができます。
けれど「教育にかかわる熱意」がしっかりと伝わっている作品で、読みごたえがありました。
私は塾などには詳しくないのですが、これだけの作品を描くにあたってモデルになった人物や進学塾などあったのかなと、想像します。
ちなみに作品に出てくる塾の名前は「千葉進塾」となっています。
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