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電子書籍 失われた地平線

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電子書籍-失われた地平線
著者: ジェイムズ・ヒルトン
池央耿
定価 ¥756(税込)
BOOKFANポイント: 42 pt
or
Tポイント: 35 pt (Yahoo!ウォレット決済利用時)
出版社名 河出書房新社
eBookJapan発売日 2016年08月20日
対応デバイス Windows  /  Mac  /  iPhone  /  iPad  /  Android  /  ブラウザ楽読み
電子書籍のタイプ リフロー型
ファイルサイズ 5.1MB
連載誌・レーベル 河出文庫
関連タグ 外国文学  /  小説・文芸  /  河出文庫
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内容紹介

不老不死の人々が住むという地球最後の楽園、シャングリラ。
かの地に不時着した英国人外交官の運命はいかに?冒険小説の決定版、待望の新訳で登場!映画化もされた著者の代表作で大ロングセラー。

※本データはこの商品が発売された時点の情報です。

書籍一覧 > 失われた地平線

ブクレポ  ( ブクレポについて

ニックネーム: ランピアン 投稿日:2012/10/07

伝説の国、シャングリ・ラ

歌謡曲の題名や歌詞、はてはホテルや飲食店の名前まで、さまざまなところで使われている「シャングリ・ラ」という言葉。音楽にまったく不案内な私でも、松任谷由美の『SHANGRILAをめざせ』、ロボットアニメの佳作『蒼穹のファフナー』の主題歌、angeraの『Shangri-La』くらいは知っているし、調べてみると楽曲の題名だけでもそれどころではないようだ。

この奇妙な響きを持つ言葉、漠然と「楽園」「ユートピア」という意味で用いられているが、本来何を意味するのか、正確に知っている人は極めて少ない。

それは当の「シャングリ・ラ」が登場する本書が、現代人に殆ど読まれなくなったせいであろう。『チップス先生さようなら』『鎧なき騎士』で知られる英国の作家ジェームズ・ヒルトンの代表作にしてユートピア小説の佳作、『失われた地平線(LOST HORIZON)』である(ユーミンのファンなら、彼女が曲中で「さあ、LOST HORIZON」と歌っているのをご存知であろう)。

ヘンリー八世に楯突いて斬首の憂き目に遭った大法官、トマス・モアが『ユートピア』を著して以降、イギリス(主にイングランド)は、ユートピア文学とそのネガであるディストピア文学を陸続と産み出してきた。ベーコンの『ニュー・アトランティス』、スウィフトの『ガリヴァー旅行記』、モリスの『ユートピアだより』、バトラーの『エレホン』、そしてディストピア文学の金字塔であるオーウェルの『1984年』、ウェルズの『近代のユートピア』、ハックスリーの『すばらしい新世界』、ゴールディングの『蝿の王』と、枚挙に暇がない。

しかし、なぜ英国だったのか。A・L・モートンはその著作『イギリス・ユートピア思想』で二つの要因を挙げている。一つは英国が島国であったという単純な事実。ユートピアは「どこにもない」というその語義からして、他の国や共同体から隔絶した場所になければならない。孤立した島嶼に住む英国人たちが、自国をユートピアに擬するようになったのは、自然のなりゆきだった。

だが、より重要なのはもう一方の要因だろう。それは英国におけるブルジョア社会の極めて早期の発展、換言すれば、英国が世界の最先進国であり、近代文明を目掛けるレースの先頭走者だったという事実である。それは英国人にフロントランナーとしての自覚と使命感、そして世界は人智によって変えられるという自信を与えた。彼らの自負がユートピア文学へと結実したのも当然であろう。

だが、輝かしい文明の進歩、端的には資本主義の急速な発展は、不可避的にマイナス面をも伴う。モアによる『ユートピア』の執筆動機が、いわゆる「囲い込み」に象徴される資本の原始的蓄積過程の告発であったように、ユートピア文学は社会の進歩が生み出す負の側面を批判する役割も担っていた。そうした批判機能の進化形態こそ、否定的な現実を理想社会を通じて逆説的に描き出すディストピア文学である。ユートピアとディストピア、両者は元来表裏一体だったのだ。

本書もまた、こうしたユートピア文学の末流に連なる作品である。第一次世界大戦終戦直後、在インド英国領事のヒュー・コンウェイを含む植民者たちは、折からのナショナリズムの高揚により勃発した暴動から逃れ、空路ペシャーワルへ向かう。だが、飛行機は正体不明の男に乗っ取られ、カラコルム山脈を越えて荒涼たるチベット山中に不時着する。途方に暮れる一行の前に出現したのは、ラマ教(チベット仏教)の僧侶たちが隠棲する寺院都市〈シャングリ・ラ〉であった。そこでコンウェイたちは、〈シャングリ・ラ〉の驚くべき秘密を目の当たりにすることになる。

先に「末流に連なる」とやや意地の悪い表現をしたのは、理想社会の青写真を真摯に語ったかつてのユートピア文学とは異なり、本書があくまで大衆小説、冒険小説だからであるが、ストーリーテラーとしてのヒルトンの腕は確かで、読者を飽きさせない。

単調な展開に陥ってもおかしくないこの物語に陰影を与えているのは、人生を半ば「降りて」しまっている男、主人公コンウェイの複雑な性格だろう。と言うのも、本書の魅力は〈シャングリ・ラ〉の描写そのものにではなく、この孤独な男にとって、理想郷がいかなる意味を持つのかという点に存するからである。〈シャングリ・ラ〉はコンウェイにとってユートピアなのか、それともディストピアなのか。

本書は名匠フランク・キャプラの手によって映画化されている。映画版は心に沁みる美しいハッピー・エンドだったが、原作の悲壮な結末もまた、深い余韻を残す。コンウェイの後姿に問うてみたい。我々ははたして、理想郷に住むに値する存在なのだろうか。
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