ニックネーム:
ムーミン2号
投稿日:2016/11/29
地球は愛で回っている(猫・アルフィーの言)
前作『通い猫アルフィーの奇跡』 では、続編は読むかどうかわからない、などと記していたけど、ニャーンだ、結局読んだんじゃないか! というのにはつぎのような訳がある。
職場で「ダ・ヴィンチ」と『通い猫アルフィーの奇跡』の話をしていたら、次の日にこの続編を持って来てくれた同僚がいたのだ。本当かどうかは不明だけど、何かに応募したら当たったので、よかったら読んでください、なんて持って来られたら、読まニャイわけにはいかニャーでしょ。
あれから2年が経過している。
前作で大ケガを負いながらクレアを救い、お隣のジョナサンとくっつけてしまったアルフィーは、ポリーやフランチェスカの家族も救いと「奇跡の猫」の本領を発揮し、今ではみんなと同様、幸せに暮らしている。
その頃、またまた空き家(賃貸)にある家族が越してくるのだが、引っ越しは夜中、隣人への挨拶もなし、人目を避けるように暮らす4人家族だった。奇妙に思っていたアルフィー及びジョナサンたち人間の仲間だが、アルフィーはその隣家の白猫を見た途端に雷に打たれたような衝撃が脳天からシッポの先に走る…要するに、恋をしてしまったのだ。
ところが、そのスノーボールと名付けられた麗しの白猫は、人間の家族のことが心配なのだろう、人間たち同様、隣猫にも冷たいばかりか、お付き合いは断固拒否、の姿勢なのだ。
ニャンとか彼女に近づきたいとあれこれ画策するアルフィーだが、いずれも頑ななスノーボールの拒絶にあい、かつ彼女の心はますます閉ざされ、アルフィーたちを拒否する姿勢は強固になる。
どうしたらよい?
そんな折、フランチェスカの長男・アレクセイは元気を無くしている。どうやら学校でプチいじめに遭っているようなのだ。
その窮地を救ったアルフィーはクラスの人気者にもなるのだが、隣人スネル一家は全然打ち解けない。それどころか、町内のうるさ型グッドウィン夫妻によって追い出されかねない状況に追い込まれそうになる。
そこで、またまたアルフィーが危険を冒してスネル一家とジョナサン家に交流をもたらそうとするのだが、大丈夫の言葉とは裏腹に、想像以上の危険にさらされてしまった。
しかし、それが奏功したのか、すべてがうまく収まっていく。
そして、アルフィーはスノーボールの愛も獲得するところで、物語は終わる。
地球は愛で回っていると信じて疑わない猫のアルフィーの活躍で、この町には愛情が拡まっているようだ。クレアとジョナサン夫妻にも新しく家族も加わって、ますます愛情の輪が拡がっている。
それは人間界だけじゃない。猫界でも同様で、実はアルフィーに秘かな愛情を抱いていたタイガーという雌ネコは、スノーボールに夢中なアルフィーに告白した後、彼を恋人とするのは諦めるが、トムという新たなパートナーを得るに至る。ここでも2組のカップルが誕生した。
そしてワタシが所属する職場でも、隣人愛を取り戻すことができ、上記のように「本」の話をお互いにすることができるようになった。「取り戻す」云々については個人的なことなのでもちろんここでは記さないが、まぁ、9月・10月はちょっと大変な状況だったのだ…。
アルフィーの行動を軽いだとか、底が浅いなどと批判することもできるかもしれないが、だいたいがアルフィーも悟っているように、人間にとって生きていくのはなかなかややこしいのだ(p.275)。その大半の原因はまわりとの関係だとの分析まで開陳されれば、あとはアルフィーに任せるしかない(つまり、物語を楽しむしかない)。
人間を引き合わせる力を備えたアルフィーに助けられたのは、「あとがき」によるとこの本に出てくる人間だけではないらしい。