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電子書籍 ピアノの森 (20)

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電子書籍-ピアノの森 (20)
著者: 一色まこと
定価 ¥540(税込)
BOOKFANポイント: 30 pt
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商品情報

出版社名
講談社
eBookJapan発売日
2012年02月17日
対応デバイス
Windows  /  Mac  /  iPhone  /  iPad  /  Android  /  ブラウザ楽読み
電子書籍のタイプ
画像型
ファイルサイズ
39.1MB
ページ数
231ページ
連載誌・レーベル
モーニング
関連タグ
ベストセラー  /  長編コミック  /  青年コミック  /  ファンタジー  /  人情  /  学園  /  モーニング
平均評価
(5)
: 2件
: 1件
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ブクレポ
2件

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ピアノの森 OFF
一色まこと OFF

内容紹介

「カイくんゴメン……僕はキミが嫌いだったずっと……」2次審査を通過したカイ。
落選を引きずる雨宮(あまみや)。
2人の気持ちはすれ違い、互いを傷つけあってしまう。
雨宮は自分を見失い、行方をくらました。
一方、カイもファイナルを目前に心を乱し……。
2人は自分の心とピアノを取り戻すことができるのか……?

※本データはこの商品が発売された時点の情報です。

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ブクレポ (レビュー)

ニックネーム: ムーミン2号 投稿日:2017/10/08

ファイナルには本物しか残れない

「ピアノの森」第20巻


傷心の雨宮と、昨晩雨宮によって傷ついた心を抱えたカイは「ショパンの森」(カイが名付けた。正しくはワジェンキ公園)でバッタリ会ってしまう。
そこで、あろうことか修平はカイに「小学校の時から、ずっとキミのことが嫌いだったんだ」と言ってしまう。しかしそれで胸中の泥を吐き出せるはずもなく、それどころかより一層泥がたまっていく気持ちになる修平は自己嫌悪に陥り、その日の午後に予定されていた雑誌の取材にも現れず、行方も不明となる。
一方、父親の洋一郎もやっと自分の間違いに気づき、いかに自分が修平を傷つけてきたかをひしひしと感じている。
「私達には自分の音楽を一生かけても追及できる幸せがあるのに、音楽をする喜びというのは本質的なところにちゃんとあることを、私は忘れていた」
コンクールの結果は、雨宮親子に「音楽をすることの喜び」を気づかせてくれるものだったのだが、それは遅きに失し、大きすぎる犠牲の元で得られたものだった。
しかし、修平は、カイがいなければ今まで自分はピアノをやってこなかっただろう、あんなつらい練習なんかとっくの昔にやめていただろう、と思う。
またそこに、レフが意地悪く絡んでくる。あまり性格のよろしいファイナリストではない。


パン・ウエイについて、かのゴシップ記者は中国で養父に取材をさせ、それをもとにゴシップ記事をかいて、あろうことか会場のニュース・ペーパーに紛れさせるという暴挙を実行してしまう。
その女はしてやったりの表情だが、そんなバカな行為によってファイナリストの評価が影響されるわけではないのは、いよいよ始まった本選の様子からも明らかだ。
パンの父親は策を弄してパンを監禁状態にし、ファイナル初日に演奏するはずの彼を養父危篤のため中国に一旦帰国、最終日に間に合わせるという演出を行う。
それがどうなるかは続きの巻で確かめるしかないが、監禁状態のパンは、それを「くだらない」と思っているし、養父の側近も疑問を持っている。


さて、ファイナリストたちの演奏が始まる。
最後はショパンのピアノ協奏曲をワルシャワ国立フィルと共演するものだ。
ショパンはピアノ協奏曲を2曲残している。いずれを弾くか、でファイナリストの自信とアピールが伺われるようなのだが、1番を弾くファイナリストの方が圧倒的に多い。
カイは第1番を、パンは第2番を弾く予定になっている。
初日は二人が演奏した。
それを聴きながら、修平は「このステージにはうまいだけでは上がれない。僕にはここに立つ資格はなかった。どんなにキレイごとを言ってみても、ただカイくんに勝つためにコンクールを利用したかっただけじゃないのか!」と自分がいかに自己中の甘ったれだったかに気付く。カイにもひどい八つ当たりをしてしまったと反省できるようになる。
ファイナルには本物しか残れない、と悟り、自分がカイにできることは何なのかを考えようとし始める。

ニックネーム: 3ki 投稿日:2013/09/16

忘れろ!

本選直前まで(22巻)

カイと阿字野の契約は、ショパンコンクールまでだった。阿字野はカイを教育し、カイは世界に羽ばたくピアニストとなる。
そんな阿字野との最後のレッスン。最後の教えは「忘れろ」だった。
昨日食べた食事を覚えているか。一昨日は。その前は。
そんなことを覚えていなくても、それは血となり肉となり、自分を形作っているかのように、人の教え、経験は、覚えていなくとも支えていてくれる。
どんなものでも、それは、自分を通り抜けていったあと、必要なものは取り込まれているのだ。
それは直接師事しなくても同じ事。
阿字野には、意図せぬ弟子がもう一人いた。
中国のパン・ウェイ。彼は、すべてのピアニストの中で、阿字野壮介の音だけを選び取り、それを基にピアノを作り上げていった。
意に添わぬ暴露記事が世に流れ、阿字野の怒りを恐れうちひしがれるパン・ウェイは、自分の演奏直前に阿字野と話をする。阿字野はどの弟子にも優しいのは、阿字野自身も、音楽の神様の弟子だからかも知れない。

カイ自身は、常に喪失の痛みに怯えて暮らす子どもでもあった。
森の端から出られないのは母、レイコを守るためだし、森のピアノは野ざらしにされ、いつ音を失うとも限らないでいた。阿字野に師事することになった後も、練習時間が押して仕事に遅れると、母の雇用者であり、カイも労働している店のオーナーに指を切るぞと脅され、生きてきた。
ほんの少しの大切なものを失うことに怯えるのは当然かも知れない。
そして、人からの厚意を素直に受け取るのではなく、対等な契約関係を結びたがるこどもになってもいた。小学生のコンクールで、その自由なピアノが落選し、阿字野に師事することになったとき交わした契約が、逆に自らを追い込み、離れたくない別れの時を迎えようとしている。
それに加えて、雨宮の苦悩。「カイがいたから」と投げつけられ、「嫌いだった」と放たれたことばは、カイを切り裂いて飛んでいく。カイにとって、離れていても同じ道を歩むものとして、つながりを感じていたというのに。

境遇からすれば、驚くほど素直に、健やかに育ったカイ。その素直さは、誤解をこじらせることなく、修正していく。
誰もがカイのピアノを愛するだろう。
そして、世界中に響くことを、祈る。