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本 真剣師小池重明

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本-真剣師小池重明
著者: 団鬼六 (著)
定価 ¥616(税込)
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商品情報

出版社名
幻冬舎
シリーズ名
幻冬舎アウトロー文庫
発行年月
1997年 04月
ISBNコード
9784877284596
版型
--
ページ数
326P
平均評価
(4.5)
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ブクレポ
2件

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団鬼六 OFF

ブクレポ  ( ブクレポについて

ニックネーム: こたろう 投稿日:2013/11/10

真剣師という今は絶滅した「将棋指し」の物語

すでに本書については、ブクレポの重鎮で知性派を代表するランビアンさんのクールなレポが上梓されています。詳しくはそちらを参照願いたいと思います。

真剣師とは面白い名前です。それに込められたすさまじさが伝わってきそうな。
賭け将棋(将棋だけでなく囲碁等でもあったそうですが)を真剣と言ったところから、裏の世界で賭博で将棋を生業とする人々を称して「真剣師」と言ったそうです。
私など、賭け将棋と言えば、縁日のそれくらいしか思いつかないのですが。

小池重明は実在したアマの将棋王者でもあり、プロの棋士を震撼させた猛者だそうです。
当時まだ存在していた、傷痍軍人のなりの乞食、物貰いの父と街娼の母のもとに生まれ、父の教えられた将棋の世界にのめり込み、遅いスタートでしたが高校生の時に街の将棋道場に通いだします。
道場主の娘をめぐっての勝負が、大きくなり大金をかけての初めての真剣将棋で、それがもとで高校を退学することに。その後はつぎつぎと職業を変えてさすらうような生活を送ります。
哀しいかな、小池の将棋人生のスタートが遅かった。
将棋だけが強く、それ以外では酒にも女にもおぼれ金に困り、踏み倒したり持ち逃げするような生活しかできない彼の唯一の特技が奨励会からプロ棋士へという厳格なコースが決められた世界で受け入れてもらえない。もちろん例外はあるのですが、そしてその道が開けそうに何度もなるのですが、彼の破天荒な破滅型の性格や行状が災いして、その都度破たんしていきます。

それでも将棋は強かった。
緻密で過去の事例を踏まえた堅牢な建造物のような現行の将棋の譜とは異なる、昔の野武士を思わせる終盤に強い打ち方で、たしかに本作にでてくるプロやアマ名人たちとの勝負では終盤での逆転勝利がやたらに多いのが特徴です。
理詰めで組み立てていく既存の将棋を混乱させて、打ちそこないを誘ったり、思いもよらない手を編み出す奇想にあふれた将棋。
それだからこそ、たかられ、だまされても、団鬼六は最後まで小池という最後の真剣師と付き合ったのだと思いました。団鬼六も生活破壊者の最たるのものですが、少なくとも金を設ける手腕はありました。その団がさらにど外れた「外道」の小池をいとおしむように描いているのが印象的です。

それにしても、生活の乱れというか、倫理観の欠如はすさまじいものです。金を持ち逃げしたり女と駆け落ちすること数度。そのたび激怒するのですが被害にあったほうがいつか許してしまうような愛嬌を持った人柄のようです。
人当たりもよく、駆け落ちした人妻に「優しいし、思いやりがあるし―」と言わせるのです。
お金があったら飲んでしまう、反省しても長続きしないだらしない性格。
一点だけ輝いている将棋の才能。
周囲の人々にあきれられ、けれど愛された真剣師は最後は何物にもなれず体をこわして四十代で亡くなります。

将棋の奇才ではあっても生活人としては成り立たなかった男。
それを惜しんで書かれた本書が墓碑銘のように見えてくるのは私だけでしょうか。

ランビアンさんのレポにあるジョー・コッカーの『アンチェイン・マイ・ハート』を聞きながら本書をめくるとロマンというか何やら熱いものが込み上げてくる気がします。

ひとりの男が不器用に戦って死んだ。それだけでいいんだなと思います。
「彼の戦いは見事だった」とだけ、だれかが覚えていれば、それでいいのだと。

ニックネーム: ランピアン 投稿日:2012/01/19

何者でもなかった男

かつて『驚きももの木二十世紀』というテレビ番組があった。偉人、著名人の半生を描くいわば人物評伝バラエティだったが、安藤組の花形敬や、いわゆる「地震虹」で有名な椋平広吉といった変り種も取り上げるところがミソで、私はそんな回だけ観ることにしていた。それらのエピソードの中でとりわけ鮮烈だったのは、ジョー・コッカーが唄う『アンチェイン・マイ・ハート』をBGMに語られた、一人の将棋指しの物語だった。こんな男が本当にいたのか。早速手に取ったのが本作『真剣師小池重明』である。面白い。一気呵成に読んだ。小池重明。真剣師(賭け将棋師)。奨励会とも棋界とも無縁。生を享けたのは父は物乞い、母は売春婦という家庭。学校にも行かず将棋にのめり込んだ挙句、いつしか金を賭けて闘う真剣師となり、その圧倒的な強さで「新宿の殺し屋」と呼ばれた男。近代将棋の定法を無視した異様な指し手でプロ棋士とも闘い、永世名人大山康晴、永世十段中原誠を角落ちながら破り、後の棋聖森雞二を平手で斃して、棋界を震撼させた男。プロ入りを含め幾度か表舞台に上がる機会を掴みながら、その無軌道な生き方で全てを棒に振り、最後は自殺に等しい凄惨な死を遂げた男。そして、一種の性格破綻者でありながら、少なからぬ人間たちに愛された男。そんな小池の生涯を活写するのは、SM文学の鬼才団鬼六。小池のパトロンでもあった団は、愛憎ないまぜとなった視線で彼の生涯を生い立ちから追っていくのだが、その一見悲惨に見える前半生は意外にも明るい。団の巧まざるユーモアと、反省というものを知らない小池の天性の陽気さとが相俟って、吹き出すこと一再ならずである。寝食も忘れ将棋に没頭した小池は、やがて酒と賭博と女の無頼の生活を送りながら、闘えば酔眼苦にもせず敵を捻り潰す真剣師に成長する。だが小池の常人離れした強さが、皮肉にも彼自身を破滅に向かわせることになるのである。本書の初読時、読了して哀切胸に迫ったのを憶えている。むろんそれは、アマとは桁違いの強さを持つプロ棋士に伍する才能と実力を持ちながら、遂に何者にもなれずに終わった一人の男に対する、いささか安手の感傷である。だがその感傷を掻き立てるのは、実に本書の巧まざる構成なのだ。団鬼六と小池重明。二人はいずれも「外道」であった。一人は文学、一人は将棋の。だが、同じ外道でも二人の立場には大きな違いがある。団は世俗的な成功を得たが、対する小池は栄達とはどこまでも無縁だったという点である。自身も将棋愛好家でもあった団は、小池を指南役として金で飼っていたのだが、そうした彼の俗物ぶりが、小池の生のいわば無償の美しさを際立たせているのである。お世辞にも輝かしいとはいえぬ小池の人生に光を放たせるために、団は己の俗物性を誇張して描いたのではないか。そう思いたくなる。いずれにせよ、小池はプロ棋士になれなかっただけではなく、将棋の指導者にも、よき家庭人にも、一人の生活者にすらなれなかった。彼の死後に残されたのは、ただ「プロ殺し」と畏怖された真剣師の伝説だけだ。人生とはかくも残酷である。だがそれゆえに小池の生は美しい。何者かになることができる力を持ちながら、それを果たせず終わった男は、「可能性」という一つの謎になり終るからである。つまりはこういうことである。かつて小池重明という男がいた。とくに何者というわけでもない、只の男だった。だが、将棋が強かった。プロ棋士でさえ戦慄せしめるほどに。
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