pagetop

本 月のぶどう

ほしい!に追加 twitter
本-月のぶどう
著者: 寺地はるな (著)
定価 ¥1,620(税込)
BOOKFANポイント: 75 pt
or
Tポイント: 45 pt (Yahoo!ウォレット決済利用時)

商品情報

出版社名
ポプラ社
発行年月
2017年 01月
ISBNコード
9784591153345
版型
127×188mm
ページ数
317P
平均評価
(3.5)
: 0件
: 1件
: 1件
: 0件
: 0件
ブクレポ
2件

新刊お知らせ登録一覧へ »

寺地はるな OFF

内容紹介

二十六歳になっても逃げることばかり考えている歩。
突然の母の死をきっかけに、双子の姉・光実とともに実家のワイナリーを継ぐ決意をするが…。
やさしい涙がこみあげる感動の物語。

※本データはこの商品が発売された時点の情報です。

ブクレポ  ( ブクレポについて

ニックネーム: こたろう 投稿日:2017/06/02

やさしい物語なだけでは……

まーちさんがレポを書かれています。詳しくはそちらを読んでいただきたいと思います。わかり易く簡潔にまとめられているお手本のようなレポです。


さて寺地さんは「ビオレタ」でポプラ小説新人賞を受賞されて、次々と作品を発表されている方です。
やさしい丁寧な言葉の積み重ねに物語を織り上げようという意思が感じられます。
大阪の東のぶどうの産地でワイナリー、ワインを醸造している家に生まれた歩と光実という双子の姉弟が主人公です。
物語は信頼していた母親が急逝する場面からはじまります。
目標としていた母、それはワイナリ―を背負っていたからで、跡継ぎとして仕事を覚えていた最中の光実は大きなショックを受け、それまで姉と比較されて出来が悪いといつも日陰を歩んできた、今も仕事を辞めて叔母のカフェでバイトをしている歩は家の仕事、ワイナリーにくわわることになります。


それぞれに出来る子としての重みを感じている姉と、出来ない子であるひけめを感じ続けてきた弟が母親の死をきっかけに成長していく物語なのですが、それには会計を担当する優しいけれどワイン造りの実務には手を出せない父親やいたずら好きでしょうもないことばかりしているようで、ワイン造りの本質には厳しい祖父。そして日野さんというワイン造りを自費で学んできた醸造所の責任者がいて事あるごとにやる気がなく見える歩を鍛えるというよりも、追い出そうときつく当たります。


そして森園君という二十歳の青年が働いていて、当初から歩に露骨な反発心、悪意を見せます。自転車のタイヤを切ってパンクさせるという子供じみた行為には「生まれつき恵まれている資産家のふらふらしている息子」へのやっかみと敵意が込められていて、この青年の視点が唯一現実的で柔らかで優しい物語を、夢物語にさせないアンカーのようなものだなと思って読んでいたのですが、途中で心臓が悪かったことがわかり入院したとあってその後登場しなくなります。
残念でした。雰囲気のあるいい作品なのですが、唯一欠点は現実的でないこと、お金の話が全く出てこない事だと思うからです。
資金面でそれほど楽ではなさそうに思えるワイン造り。おそらく柏原の当たりだろうと思われるのですが(実際にぶどう造りワイン造りは関西では一番盛んなところだそうです。でも全く知りませんでした。世間的な知名度もそうではないでしょうか)高級ワインとして認められ作るだけ売れるという訳にはいかないでしょう。
ですから森園君の非難は、そのやったことは別として歩が甘ちゃんであるのは事実ですから、けなされても仕方がないわけです。二十六にして身内のお店でバイトしてアパート暮らしって、何でしょうか。
姉も頑張り屋ではありますが、双子がそろって世間知らずの甘えん坊のように思えてきます。


そういう目で見るといたずら好きのお祖父さんも厳しい職場長の日野さんもステレオタイプのありがちな人物像でもう一歩深みに欠けるように思えてきます。


作者の思い入れが先行して現実味がやや欠けているのが、不満でしょうか。とても優しいお話しでしたし、丁寧に書かれたワイン造りの難しさや手掛ける工程の多さなどの描写は感心して読んだのですが。
あとぜいたくを言えば大阪が舞台なのにあれ、これって関西の話だったっけと地方の感覚が希薄な言葉使いでした。こてこての関西弁を使えと言う訳ではないのですが。
作者が関西ではなく佐賀の出身だからでしょうか。

ニックネーム: まーち 投稿日:2017/03/01

ワイナリーの仕事とともに描かれる、双子の姉弟の成長物語

26歳の双子の姉弟である、天瀬光実(みつみ)と歩(あゆむ)の母親が急死する。彼女たちの母親は、ワイナリーの経営者だった。
姉の光実は、優秀で完璧な母親にあこがれ、ワイナリーの仕事に従事していたが、弟の歩は、人生から逃げるように、ふらふらとした生活を送っていた。
子どもの頃から、光実は優秀で、歩は、常に、「出来の悪い方」と言われ続けてきたのである。


目標としていた母親を突然喪い、傷心の光実だったが、弟のことを考え、彼に、ワイナリーの仕事をやらせてみようとしたのである。
ワインが好きなわけではなく、年下の従業員からも見下され、仕事は重労働だしで、いつまで続くことやらと思われた歩だったが、地味にコツコツと勉強を重ねていくのだった。


一方、光実は、同級生の広田に恋心を抱きながらも、その方面に関しては全く不器用で、どうしたらいいのかわからず、もがいているような感じだった。
そんな彼女は、まるで、「ウサギとカメ」のうさぎのように、どんくさいと思っていた弟が、いつのまにやら、人間的にもワインに関しても成長をとげ、自分を追い越していたことに驚く。
優秀であるがために、何でも自分で抱え込み、自分で何とかしようとし、失敗する姿を人に見られたくないという性格が災いし、自分を縛り付けていることを指摘される光実。
そして彼女は、なんでも完璧にこなしているように見えていた母親が、実は陰で、必死に努力していたということを知るのだった。


この作品、読んでいくほどに面白くなっていった。
姉弟それぞれが、コンプレックスを抱えていたのだが、ワイン造りを通した、お互いの成長によって、心が解きほぐされていく様子が、実に見事に描かれていた。
コンプレックスを抱えていたのは二人だけではなく、彼女たちの叔母も、優秀な姉に対して、劣等感を抱いていたし、彼女たちの父親も、婿養子であり、会計事務所に勤めていた人物なので、ワイナリーの従業員などからは、相手にされていなかった。
さらに、姉弟の同級生や知人たちも、外からはわからない、それぞれのコンプレックスを抱えていた。
しかし、みな、自分なりの方法や進む道を探し出し、それを乗り越えていくのだった。


この作品を読んで、ワイン造りというのは、こんなに手間がかかっているということを始めて知った。
私は、ワインというのは、ぶどう農家が育てたぶどうを、ワイナリーが買い取って造っているのかと思っていたのだが、ワイナリーというのは、ぶどうも自分たちで育てていると知り、びっくりした。
だから、ワイナリーの仕事というのは、大半がぶどうの栽培なのである。
その、ぶどう栽培から、収穫されたぶどうが、ワインになるまでが、とても丁寧に描かれている。
しかも、毎年、同じ作業の繰り返しになるところを、年ごとに、違う作業の工程を描くことで、重複が避けられているのもうまいと思った。
一番驚いたのは、醸造中の赤ワインの樽に、卵の白身を入れるということだった。
卵白には、アルブミンをいうたんぱく質が含まれていて、それが赤ワインの渋みの成分であるタンニンと結合し、澱となって樽の底に沈み、二か月ほど待ってから澱引きをおこなうことで、美しくルビー色に澄んだワインができあがるそうである。


そして、忘れてはいけないのが、二人の祖父の存在である。
いたずら好きの祖父なのだが、最後の言葉にはグッとくる。


ぶつかり合うこともありながら、ワイン造りを通して、成長する姉弟の姿を丁寧に描いた、とても素晴らしい作品だった。


二人が幼い頃、忙しくて、全然かまってくれなかった母親が、たった一度だけ、寝る前に聞かせてくれたお話が素敵である。


『二匹の蝶はひらりひらりと月まで飛んでいって、葡萄の木を植えました。そこで育てた葡萄でワインをつくりました』


月の葡萄で造ったワインは、どんな味がするのだろうか。
母の想いは、二人に伝わったようである。
うれしい全品送料無料♪全商品5%ポイント還元!<a href="index.php?module=ecrlist&action=plist&it=BK"target="_parent">▼新刊・予約はコチラ!</a>
ご注意!ラッピング、お届け日の指定は承れません!
大量一括注文窓口はこちら!
出版社共同企画!もれなく100ptプレゼント!
BOOKFANのツイッターをフォローする♪
BOOKFANキャラクター大集合!LINEクリエイターズスタンプ配信中☆
特集一覧へ
ジャンルランキング

小説・エッセイのランキング

とるとだす

畠中恵(著)


ホイッパーウィル川の伝説

キャシー・アッペルト(著)


月が導く異世界道中 12

あずみ圭(著)


ランキング一覧へ