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本 命売ります

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本-命売ります
著者: 三島由紀夫 (著)
定価 ¥734(税込)
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商品情報

出版社名
筑摩書房
シリーズ名
ちくま文庫
発行年月
1998年 02月
ISBNコード
9784480033727
版型
--
ページ数
269P
平均評価
(4)
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ブクレポ
1件

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三島由紀夫 OFF

ブクレポ (レビュー)

ニックネーム: ムーミン2号 投稿日:2015/11/09

命あっての物種

先日たまたま入った高知市中心街の書店で、レジ前にポップ付で“今、売れてます”的な紹介がなされていた本。実際にはタイトルだけを頭の中にメモして、全集版(新潮社の新しい版)をさぐってみるとちゃんとあった(全集だから当たり前なのだろうけど)。


1968年5月から10月に雑誌「週刊プレイボーイ」に連載された作品で、三島氏の作品としては珍しいのかどうか、他をあまり読んでないのだから十分に判断つきかねるのだが、大衆小説っぽい作品だ。


『金閣寺』そのほか、今まで読んできた三島氏の作品とは趣が全然異なる。知識なしで本文だけ読まされたら、文学研究者などでないワタシなど、三島氏の作品だと教えられても、違うんじゃない? と疑ってしまうようなものだ。
第一、辞書で調べないとわからない言葉が出てこない。三島文学では画期的なことだ(個人的感想です)。
それから、殺すの死ぬの、というようなことがエピソード毎に出てくるとともに、男女の交わりもサラリとではあるが、何度も描かれる。裸の女性の描写も再三ある。この主人公をイケメンだとかカッコいいとかの形容はほとんどないのだけど、何故か彼に関わる女性は彼のことが気になり、惚れてしまい、からだを許してしまう。プレイボーイなのだろう(名は山田羽仁男、27歳のコピーライター)。
掲載誌からすれば、上記のようなことも頷けるのだけども、もちろん、そんじょそこらの三文小説ではないのは読み進んでいくうちに感じられてくる。


とはいえ、まずもって最初の設定からして変テコだ。
羽仁男はある日、手から滑り落ちた新聞を拾おうとして、そこにゴキブリを見つけ、そのあと新聞の活字が全部ゴキブリに見えてしかもそれが勝手気儘に逃げているように感じたことから、新聞の活字だってゴキブリになるのだから、生きていても仕方ないと睡眠薬自殺を図る。
ところが死ねなかったので、会社を辞めて「命売ります」と新聞広告を出し、依頼者の依頼に沿って、もしかしたら死ぬかもしれない(設定上は相当の確率で死ぬことになるはず)という覚悟をもってその依頼事にあたる。
ところがところが、依頼者が死んで欲しいと思ったような人達は何らかの形で死んでいったりするんだけども、羽仁男の思惑とは異なり彼だけは生き延び、手元にはお金がガッポリ残ることになってしまう。
あまつさえ、父親がいっとき精神病院にはいっていたことから、自分もいずれ狂って死んでしまうんだ、と信じて疑わない玲子と巡り合ってからは、彼女の死ぬ、あるいは死にたいという思いについては何度もキッパリと否定し、まるで「生きよ!」と鼓舞しているようにも思われてくるまでになる。
そうなってくると羽仁男の「命売ります」の根本である、生きていても仕方ない思想は、もともと根拠脆弱なものなのだから(だって、新聞の活字がゴキブリに見えてそいつらがゴソゴソ逃げ回るのだから)、何となくおかしくなってくる。そういうねじれた方向に物語は進展していく。
加えて、こんなおかしな商売を始めた羽仁男を追尾する組織まで現れてくる始末だし、それから必死に逃げようとする羽仁男の姿に、あれ? 死にたかったんじゃないの? と思ってしまう。まぁ、羽仁男いわく、殺されるのではなく自殺をしたいのだそうだが…。
あげく、そやつらに脅され、殺されかかったところを危うく逃げ延びて、転がり込んだ警察では歯牙にもかけてもらえないし、刑法上「命売ります」と言ったってブタ箱に入れる事さえできないと、けんもほろろにおん出され、孤独をしみじみ感じるところで幕となる。


完全なエンタメ系の小説でありながら、その根本では「生きる」とは、あるいは「死ぬことに必要な理由とは」を問おうとしているように、次第次第に感じられてくる。
と、真面目に考えていたら、そっからの展開は、スパイとか発信機とか偽時限爆弾などのように、どうあってもエンタメ系の作品としての体裁を失いたくないことが伺えて来るのだから困ったもんだ。
そして最後には官憲にも相手にされないのだから、パラドックスここに極まれり、という感じになって、可笑しいのやら寂しいのやら、不思議な感覚になってくる。


文中、主人公は二度までも「みんながみんな、組織の一員であると思ったら大間違いだ」とタンカを切るのだが、その挙句が孤独感ベッタリなのだから、生きるも死ぬも、お一人様ではかなわぬということなのだろうか?


前述のようにワタシが読んだのは全集版で、全集ではほとんど解説らしいものなどないので、今、よく売れているちくま文庫版には解説もあるだろうから、そちらをおススメします。画像等は、そのちくま文庫版を拝借しました。悪しからずご了承ください(って、誰に了承してもらうんだろう?)。
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