ニックネーム:
まーち
投稿日:2017/03/07
単純なストーカー事件じゃなかった!
白井有梨(29歳)は、SCS(ストーカー犯罪対策室)に所属する警察官である。この作品では、その、SCSに寄せられた、5つの相談が描かれている。
第一話 遠峰良子の事件 相談者は、35歳の主婦。別れた不倫相手の男から、ストーカー行為を受けているという。しかし、調べてみると、相手の男には、アリバイがあったのである。実はこの事件、単純なものではなかったのだ。そして事件は、最悪の結末になってしまい・・・
第二話 松野公雄の事件 相談者は、32歳の会社員。彼は、何者かに監視されていると言うのだが、彼に送られてきたというメールや、メモなど、彼が訴えていることを証明できるものは、なぜか、何も残っていないのだ。職場の上司もSCSのメンバーも、松野の妄想ではないかと疑ったのだが・・・
第三話 篠崎未架の事件 相談者は、20歳の新人女優。彼女は、朝ドラに主演したのがきっかけでブレイクしていた。その彼女に届くファンレターの中に、度を越したものがあるというのだ。調べてみると、その人物は、女性の大臣に対しても、脅迫状のような手紙を送っていることがわかる。有梨は、その人物を捜し出したのだが、その裏には予想外の真相が隠されていて・・・
第四話 小山純子の事件 相談者は、高級老人ホームの園長。彼が園長を務めている老人ホーム内で、ある男性をめぐって、トラブルが発生しているというのだ。田端という男性に、二人の女性が好意をもっていたのだが、あとからホームに入所した、小山純子という若い(といっても60代だが)女性が、田端と交際を始めたことに嫉妬し、ストーカーのようなことを始めたというのである。施設内でのトラブルであり、穏便に解決しようとしたのだが、純子が、予想外の行動に出て・・・
第五話 早川沙紀の事件 相談者は、25歳のOL。ストーカーは、元カレだという。まずは、青山というその男と話をしてみることになったのだが、青山に逃げられてしまう。そして彼は、沙紀を拉致し、彼女の部屋に立てこもってしまい・・・
この作品、これらの事件を描いただけではないのである。
実は、有梨自身も、ストーカーに悩まされているのだ。
「S」という人物から頻繁に送られてくるメールの内容は、まるで彼女を監視しているかのようなことが書かれているのである。
同僚に協力してもらい、「S」が誰なのか、密かに調べていたのだが、最後の事件の直後、ある人物が本性を現す。
「S」はその人物だったと思われたのだが、その騒ぎの直後、「S」からのメールが届く。
上巻は、ここで終わりだ。
「S」は一体、誰なのか?
気になって気になって、下巻の発売まで待てない感じだ。
それにしても、ストーカー事件というのは、こんなに複雑なものもあるのだと知り、本当に恐ろしくなった。
そして、その手口も、想像もつかないようなものもあった。
ストーカー事件を描きつつ、作品全体を通して、ストーカー事件にかかわっている警察官のストーカー被害を描いていくという作りが、非常にうまいと思った。
本当に怖くなる作品だったが、読みごたえ十分である。
早く下巻が読みたい。