pagetop

本 コンビニ人間

ほしい!に追加 twitter
本-コンビニ人間
著者: 村田沙耶香 (著)
定価 ¥1,404(税込)
BOOKFANポイント: 65 pt
or
Tポイント: 39 pt (Yahoo!ウォレット決済利用時)

商品情報

出版社名
文藝春秋
発行年月
2016年 07月
ISBNコード
9784163906188
版型
127×188mm
ページ数
151P
平均評価
(4)
: 0件
: 3件
: 0件
: 0件
: 0件
ブクレポ
2件

新刊お知らせ登録一覧へ »

村田沙耶香 OFF

この商品について

第155回芥川賞受賞作

内容紹介

36歳未婚女性、古倉恵子。
大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。
これまで彼氏なし。
日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。
ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと突きつけられるが…。
「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う衝撃作。
第155回芥川賞受賞。

※本データはこの商品が発売された時点の情報です。

ブクレポ  ( ブクレポについて

ニックネーム: こたろう 投稿日:2016/11/26

社会の「部品」になりたがる人

遅ればせながら、芥川賞受賞作品「コンビニ人間」を読み終えました。
複雑な読後感が残りました。
まーちさんが書かれているように、とても読みやすいです。独善的でも独りよがりでもなく、読者が共有できる言葉で作品世界が作り上げられています。当たり前のことではあるのですが、最近の「文学」と称する一部の作品はそのあたりを無視したり、拒絶している感があったもので。


主人公の一種特異性が作品のテーマであり、それは翻って普通と意識しているその他の人たちの「普通」がいかなるものなのかを逆に照射してくるようです。


共感や感情に乏しい、親族も含め彼女を気遣ってくれる人たちのいうことが感情として理解できにくい女性古倉恵子、自分の居場所をマニュアルで制御できる小さ目な(例えていえばガラスの水槽のようなコンビニエンスストアという世界に見つけ出して、彼女としては過不足なく暮らしていたのですが、それが知り合いからは不快というか普通に戻したい(と普通の人は思うわけで恵子は戻るわけではなく、ある種の変容をその場合遂げなければならないのですが)圧力をかけてくるわけです。


そこへ新しい店員として実務能力は皆無ながら、他人を自分とは異なるという一点で(どこかにそんな評価点を設定して見下さないと生きていけない)白倉というこれも欠陥人間がやってきて物語は動き出します。
いわばコンビニという狭い世界を見つけ出して定住している普通でない主人公が、もっと大きく欠落し、はみ出している同業者をみつけ出してしまって、ほうっておけなくなり、かなりの問題児である彼を自宅に引き取り暮らしだすという、驚きの行動をとります。


独身のいい年の女性が一人暮らしをしているよりも、男性と同棲しているほうが世間体がよくて容認されやすいという皮肉な結果を恵子は喜んで受け入れます。
コンビニという水槽だけでは足りずに、同棲する男性という器を、新たに手に入れて喜んでいる風です。


彼女の私生活が白倉を導き入れたあたりから語られ始め、コンビニの部品になりたいと思っているように、その暮らしぶりはかなり奇妙で簡素です.
食事がいい例で温めた温野菜を口にするだけ、味気なかったら醤油をたらすという具合で、まるで燃料や潤滑油の補給のようにも見えてきます。


「普通」を掲げて大手を振ってあるく人々を異なった角度から光を当て、その不気味な相貌を浮かび上がらせるような手法は、とても効果的に作用しているように思われます。
ただその先にあるものは何なのかなと、不安も感じるのですが。


そして個人的にはこれが芥川賞を取るのかと、やっぱり複雑な感想が残ったのでした。

ニックネーム: まーち 投稿日:2016/08/06

“普通”と見られるための苦痛

古倉恵子は、“普通”の人たちから見たら、理解できない子どもだった。公園で死んでいる小鳥を見つければ、「これ、食べよう」と言い出す。恵子は、父親は、焼き鳥が好物だし、自分と妹は、唐揚げが大好きなのだから、喜ぶと思ったのである。
小学校で、男子がけんかを始め、「誰か止めて」という声が聞こえれば、用具入れのスコップを取り出し、その男子の頭を殴った。恵子は、止めろと言うので、一番早そうな方法で止めただけなのである。
ヒステリーを起こしている女性教師に対し、「やめて、先生!」という声が聞こえれば、その先生のスカートとパンツを勢いよく下ろした。恵子は、大人の女の人が服を脱がされて静かになっているのを、テレビの映画で見たことがあったのである。
そんな彼女の扱いに、家族が困っているのを見て、恵子は、皆の真似をするか、誰かの指示に従うか、どちらかにして、自ら動くのは一切やめたのである。


そのまま成長した彼女は、大学生になり、新しくオープンするコンビニで、バイトを募集しているのを発見する。そのコンビニで働くことになった恵子。そのとき、初めて、彼女は、「世界の部品」になることができたと感じたのである。世界の“正常な”部品としての彼女が誕生したのだった。


彼女は、大学を卒業しても、コンビニのアルバイトを続け、気が付けば、18年が経っていた。食事は大抵、コンビニのもので済ませ、彼女の身体は、コンビニの食料でできているようだった。
そんな彼女の前に、白羽という、新入りのアルバイトの男性が現れる。彼がコンビニで働く目的は、婚活のためだと言う。そんな彼は、客の女性にストーカーまがいの行為をしはじめたため、クビになってしまったのである。
しかし、ひょんなことから白羽と再会し、彼の事情を聞いた恵子は、婚姻届けを出さないかと提案したのである。さらに、恵子のアパートで、一緒に暮らすことになり・・・


恵子の提案は、白羽を、恋愛の対象と考えてのものではない。二人は、全く違うタイプだが、“普通”であることを要求されることに苦痛を感じるという点で、共通していたのである。大人になったら、就職し、恋愛をし、結婚し、子どもを産む。周りは、そんな“普通”を求め、それができない人間は、排除されてしまうのだ。


別に、恋愛関係になったわけではないのに、男性と暮らし始めたと言うだけで、周りの反応が、全く変わる。どうやら、周りは、彼女が、“普通”になったと思い、喜んでいるようなのである。周りが喜ぶなら、それはいいことなのだと、恵子は思ったのだが、やがてそれは、本当の自分ではないと気付いたのである。


冷えた飲みものを最後にとってレジに向かうお客が多いとか、掌やポケットの中で小銭を鳴らしている人は、煙草か新聞をさっと買って帰ろうとしている人が多いとか、アメリカンドッグを包む前には、手をアルコールで消毒するとか、そんな、細かい描写は、今でもコンビニでバイトをしているという、村田さんならではだろう。


最近の芥川賞作品の中では、ダントツで読みやすく、面白い作品だった。
完璧なマニュアルがあるコンビニで働くことでしか、本当の自分でいられない女性や、“普通”であることから逃げ続ける男性の姿を通して、“普通”とは何なのかと、考えさせられる作品だった。“普通”を求めることは、時には、暴力になっているのかもしれない。
うれしい全品送料無料♪全商品5%ポイント還元!<a href="index.php?module=ecrlist&action=plist&it=BK"target="_parent">▼新刊・予約はコチラ!</a>
ご注意!ラッピング、お届け日の指定は承れません!
大量一括注文窓口はこちら!
出版社共同企画!もれなく100ptプレゼント!
BOOKFANのツイッターをフォローする♪
BOOKFANキャラクター大集合!LINEクリエイターズスタンプ配信中☆
特集一覧へ
ジャンルランキング