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本 銀の猫

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本-銀の猫
著者: 朝井まかて (著)
定価 ¥1,728(税込)
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商品情報

出版社名
文藝春秋
発行年月
2017年 01月
ISBNコード
9784163905815
版型
--
ページ数
332P
平均評価
(4)
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ブクレポ
2件

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朝井まかて OFF

内容紹介

お咲は、年寄りの介護をする「介抱人」。
口入屋「鳩屋」の主人・五郎蔵とお徳夫婦に見守られ、誠心誠意働くお咲は引っぱりだこだが、妾奉公を繰り返してきた母親のだらしなさに振り回され、悩む日々―。
そんな時、「誰もが楽になれる介抱指南の書」を作りたいという貸し本屋・佐分郎太から協力をもとめられた。
「いっそ、ぎりぎりを攻めるってのはどうですかね、お咲さん」―「いいかも。
そのぎりぎり」。
長寿の町・江戸に生きる人々を描く傑作時代長編。

※本データはこの商品が発売された時点の情報です。

ブクレポ (レビュー)

ニックネーム: アーミー 投稿日:2017/07/26

猫が見守る主人公の幸せ

朝井まかてさんの江戸市井小説。
高齢者や病人の介護専門の
女中奉公をしている25歳のお咲が主人公です。

すでに、こたろうどんがレポを書かれいて
私も読んでみたいなと思って図書館で予約して
やっと読み上げた、という作品です。

お咲は3日間寝泊りをして
高齢者の介護をする「介抱人」です。
お咲が仕事に行く家での家族事情、職業事情が
江戸の時代情緒を交えて温かな目線で描かれた
一話完結の連作短編集です。
一話ごとにお咲自身の家庭事情も描かれていて、
介抱先での親子関係とともに
現代でも通用する家族の問題が浮き彫りにされていました。

こんな親子、いるよね、という感じで
親近感が感じられる内容に
ぐんぐん引き込まれて読んでいける作品でした。

お咲が宝物のようにしているのは、
亡き義父からいただいた小さな銀細工の香箱座りをした猫の細工物。
困ったことがあると
お咲はこの銀の猫に問いかけたり、話しかけたりします。
これがタイトルになっていると思っていましたが、
お咲が住む長屋に居ついた野良猫も銀色の毛並み。
お咲と折りの悪い実母佐和との絡みシーンには
必ずといっていいほど、登場してくる銀の猫です。
このあたりの猫の意味するところも、
朝井さんの構想の中では重要な意図があったと思います。

地味だけど温かな時代小説jの人情もの。
朝井さんの境地が出来上がってきたと思える一冊でした。

ニックネーム: こたろう 投稿日:2017/04/29

江戸の介護事情

朝井さんの雰囲気のある市井小説です。それもちゃんと工夫がしてあって、江戸は長生きする人が案外多い老人の介護が必要な町だったという視点から描かれていて、それがちゃんと現代の老人が増える介護社会にリンクしている物語になっています


主人公のお咲は二十五歳の今でいうならバツイチの女性。一度嫁していたいた商家を出されて今は口入屋の紹介で「介抱人」という仕事をしています。
介抱人とは今でいう介護の仕事を請け負って家々を訪れ短期の介護を行う主に女性のこと。
相手は呆けた老人だったり怪我をして体が不自由になった人だったりします。


江戸では、そもそも病などで短命で終える人も多いのですが、その危険を乗り越えれば案外長生きする人も多くて、恵まれた商人や武家のお年寄りは痴呆になることも多かったのだとあります。


お咲はただ務めているのではなく、自ら工夫して満足してもらえるよう努力している賢明な女性でもあります。
それは彼女が謂れのない負債を負っているからでもあります。
嫁ぎ先の義父のもとに実の母が訪れ三十両ものお金を借りてしまったからです。人品の卑しい元夫がねちねちとあらわれて毎月取り立て、それだけでなく、何やら未練がありそうな仕草までする始末。それにも懲りず同居している母親は散財を続け悩ませます。


題名はお咲が大事にしている、義父にいただいた小さな銀細工の香箱座りをした猫の細工物からつけられています。
辛くても人のためにと努力するお咲を見守るような思いが込められた銀の猫。
人の気持ちに寄り添えて、介抱している相手のしてほしいことを敏感に気づくお咲は行く先々で歓迎され、しまいに「介抱の指南書」を出そうという貸本屋の旦那まで現れ実地に体験までするのですが、何が解放には肝要なのかが、なかなかつかめないというくだりが出てきます。
それだけ教条的な決まりきった考えでは、きめ細やかな介抱ができないということなのだと思います。


福来雀や半化粧などの題名の付け方も市井小説らしくて、印象的な時代小説でした。
出来るならシリーズものになりそうな作品を朝井さんには書いてほしいものです。
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