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本 小さいおうち

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本-小さいおうち
著者: 中島京子 (著)
定価 ¥1,707(税込)
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商品情報

出版社名
文藝春秋
発行年月
2010年 05月
ISBNコード
9784163292304
版型
--
ページ数
319P
平均評価
(4.5)
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ブクレポ
5件

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中島京子 OFF

この商品について

第143回直木賞受賞作!
昭和初期、ある一家の忘れがたい、秘めた恋の物語とは。女中奉公の記憶を綴るタキの胸に去来する、昭和の家庭風景と奥様の面影、切ない秘密。そして物語は意外な形で現代に繋がり…。

内容紹介

赤い三角屋根の家で美しい奥様と過ごした女中奉公の日々を振り返るタキ。
そして60年以上の時を超えて、語られなかった想いは現代によみがえる。

※本データはこの商品が発売された時点の情報です。

ブクレポ  ( ブクレポについて

ニックネーム: みやび 投稿日:2013/08/28

まいった。

いやあ、よわった。困りはててしまった。
いくら返却期限が迫っていたからといって、こんなものを閉館間際の図書館で一気読みなんて、本当にするものではない。感情が噴き出し呆然とする体を持てあまし、息も絶え絶え、なんとか先程帰り着いたのだった。

時は昭和11年、東京郊外に建つ赤い屋根のお屋敷で女中として働いていた娘・タキが、美しい若奥様のもとで過ごした日々を、60年後に手記をとるという形で綴る、一人称の物語である。

上流階級の美しい家族の傍を終の棲家と心に決め、気の置けない女主人と過ごす穏やかな日常。やがて戦時中という時勢が暗い陰を落とし、物資不足による生活の変貌や、スパイ疑惑による知人の不当逮捕、人間関係の交錯、徴兵、禁断の恋、そして別離。ことあるごとにやってきては手記の内容にツッコミを入れていく、甥の次男坊である健史に辟易しながらも、かつての日々を懐かしく思い出しては、徐々に、徐々に、タキの記憶が甦っていく。

そして、ある場面で手記は途切れる。
タキの口から語られることのなかった秘密が、運命のいたずらにより明かされる。

本書は直木賞受賞作品であるということだが、今回読んでいろいろ調べてみるまでまったく存じ上げなかった。ただ、図書館や本屋へ行く度に、あのなんともいえない朱色の表紙が目の端にチラつき、当サイトでもいくつかのレビューを拝見しており「あの道はいつか通らねばなりますまい」と、長らく心にひっかかっていた本であった。今般、映画化するという話を聞き、ついに腹をくくって手を伸ばしたというところである。

いやはや、まいった。

話の構成が良い。時代背景の描写も良い。若奥様の謎めいた恋愛秘話も良い。大伯母の秘めた想いを追う甥っ子の存在も、ありきたりだけどすごく良い。

しかしそれよりなにより、主人公であるタキの存在に打ちのめされてしまった。決して華やかとか、ドラマチックなヒロインではない。もし男性作家がこの本を書いたとしたなら、きっと美しい若奥様が魅惑的なヒロインとして描かれていたことだろう。タキは、ただ、ただ、誠実なのである。聖人君子というわけではない。自分の仕事に誇りを持ち、空気の機微をよみとり、全てを飲み下し、自分の大切なもののために献身的に尽くす。彼女が守ろうとしたもの、そのために決断してきた全ての選択がひたすら誠実だと言って過言ではないと思う。私はこのタキという人物が、とても好きになってしまった。

本当に個人的な意見で申し訳ないのだが、うちの祖母はこういう人であった。
おかげさまで、後半はだいぶ健史の視点に飲みこまれてしまった。

本書のストーリーは、最後まで読むとわかるが、常に、本当に、それぞれの人物の主観的な目線で語られている。タキの目に映るもの、健史の目に映るものは、絡み合いながらも交じり合うことはなく、それがなんともいえぬ情緒を生み出している。健史から見た老後の孤独な大伯母。「ちまちま」と過去の美しい日々を誇らしげに綴る大伯母。手記を積極的に見せようとする大伯母。その姿は、健史の大伯母のものではあっても、タキのものではない。物語の結末、タキの本当の想いを健史が知ったところで、私が抱いた感想は感動ではなく「後ろめたさ」だった。

子供にとっての親とは、他に替えの利かぬものでありながら、どこか勝手でいけ図々しい、本当に愛すべき存在だと思う。一方で、祖父母という生き物は、特に小さな子供にとっては、なんとなく清廉で達観した仙人のようなイメージがある。我が祖母についても、ご多分に漏れず、誠実で包容力があり人生の手本の様な人物だった、と思っていた。そんな祖母が、とあるはずみで過去の家族の秘密や他者への罵りを口にしたとき、祖母の抱える意外な悲しさを垣間見て、齢10代であった多感な頃の私は大いに狼狽し、聞いてしまったことを何故か後ろめたく思ったものだ。その時の記憶が、物語を読み終えたときにまざまざと甦ってきたのだ。この本のブクレポとしては、決して適切な感想ではないと思うのだが、とにかく本書の圧倒的内容と、自身の過去の感情の波に、約3時間前の私は本当に打ちのめされてしまったのである。

こんなところでする話でもないが、私は普段からホイホイ書籍を買う人間ではない。
いや。まったく買わない部類の方々にいわせれば、これは語弊のある表現になるそうだが、お気に入りの作家のものでもない流行の本を考えなしに買って飽きたら売る、というタイプの人間ではない、ということである。図書館などで物色して気に入ったら購入し、友人に勧め、思い返しては繰り返し熟読する、というパターンが常なのである。

この本はたぶん、これまでとちょっと違った扱いになる。
私に購入されたが最後、本棚の一番奥にしまわれ、数年に一度くらいの割合で手にとって、後ろめたさをごまかしたのち、きっとそのまま元の場所に戻されることになるに違いない。

映画化は非常に楽しみであるが、客観的な映像からは味わえない不思議な感動を、是非読書で味わっていただきたい一品である。

ニックネーム: とまと 投稿日:2012/11/25

頼り頼られる女中と奥様

戦争前から戦時中、裕福なおうちに勤めた女中さんのお話。
女中さんというと、いわゆる家政婦なわけで、裕福な家の意地悪奥さんにいびられてそれに耐えながらも頑張るという勝手なイメージがあったのですが、このストーリーの中の女中「タキさん」は全く違うのです。
田舎育ちのタキさんは東京の邸宅に若い頃から女中として働くことになります。
邸宅は赤い屋根の素敵なおうちで、狭いながらも女中部屋を与えられ、そこで暮らしながら女中としての仕事をすることになります。
タキさんは女中としての役目を立派に果たすことに誇りを持っている様子が伝わってきてとても好きでした。
そして「奥様」である時子さんとの関係も良好で、お互いが時に頼り頼られる様子も微笑ましかったです。

そんな中で少しずつ戦争の色が濃くなってきて、奥様である時子さんにも不穏な動きが見られるようになり…。
ほんの少しミステリーが入り込んでドキドキさせられました。

いつの世の中でも機転がきく人、前向きに生きられる人が素敵だなと改めて感じさせられる作品でした。


あと、時子さんのお友達の睦子さんが目白の女子大卒で出版社でバリバリ働いている様子を読んで、ちょっと笑いました。だってどう考えても私の母校だし~。きっと睦子さんみたいな人が多かったんだろうな~と思ったら笑えました。

ニックネーム: p-mama 投稿日:2012/09/15

戦争に入る時代の日常

戦前の山の手の家に女中奉公をしていたタキさんを通して語られる、日本の日常。
途中挿入される甥の子供(現代の青年)が知っていると思っている戦前との対比が印象的。
書き出しを読んだ時に、これは少しミステリー風なのかと思っていたが、読み進めていっくうちに、戦争という得意な時代を生きた人の日常を描いた物語なのだ、と感じた。

最終章に本編で曖昧だった部分を解き明かし、長い間心の中にしまっておいた謎を現代に明らかにし、それによって今を生きる人達がどう感じたか、という構成になっている。
この最終章がとても良かったかな。

ちょっとイメージしていたものと違ってはいましたが、それなりに楽しめました。

ニックネーム: ムーミン2号 投稿日:2011/11/19

本のカバー絵がすべてを語る

この本のタイトルを見て、バージニア・リー・バートンさんの「ちいさいおうち」という絵本を連想したし、関係なんかないんだろう、とあらぬ方向へ顔を向けていたけど、少しよりちょっと多めな関係があった。
戦前から女中さん(死語に近い)として平井家に勤めていたタキさんの手記が全体の8割ほどを占める。その後(というのはタキさんが亡くなってから)を血縁の26歳の青年がまとめる形をとっているのだが、その最終章で今まで海の中を走行していた潜水艦が一気に浮上するように物語が大きく終結に向かってうねりを見せる。いろんなことが最終章で解決される(自分の中でだけども)。カバー絵にその解決が描かれているので、ああ、そういうことだったんだ、とこのカバー絵も十分納得できる。
最終章に至るまでは、どうということのない(もちろん伏線はここで語られるが)物語展開なので、このまま終わるのかな? と不安になっていたら、終りで久しぶりに満足感いっぱいになる。ちょっと、切ないけどね。

ニックネーム: とくえもん 投稿日:2010/11/24

戦前の東京の山の手の暮らしが、…

戦前の東京の山の手の暮らしが、そこで女中をしていたタキおばあちゃんの思い出として語られることで浮かび上がってきます。
きれいな奥さまと可愛い坊ちゃん、それに一生懸命に働く若いタキさんの姿が目に浮かぶようです。取り立ててどうということのない日常ですが、なぜか面白くどんどん読み進められます。
最終章で明らかになる登場人物たちのその後の人生がまた興味深く、胸を打たれるものがありました。
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