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本 少年H 下巻

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本-少年H 下巻
著者: 妹尾河童 (著)
定価 ¥723(税込)
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商品情報

出版社名
新潮社
シリーズ名
新潮文庫
発行年月
2000年 12月
ISBNコード
9784101311074
版型
--
ページ数
494P
平均評価
(4)
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ブクレポ
1件

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少年H OFF
妹尾河童 OFF

内容紹介

中学生になったHは、軍事教官から「反抗的だ!」とマークされ、殺されそうになる。
戦争は日々激しさを増し、空襲警報が連日のように鳴り響き、米軍機の猛爆で街は炎上する。
その中を逃げまどうHと母親。
昭和20年8月、やっと戦争が終わるが、暮らしの過酷さはその後もつづいた。
“あの時代”、『少年H』は鮮やかに“戦争の時代”を伝えてくれる。

※本データはこの商品が発売された時点の情報です。

書籍一覧 > 少年H

ブクレポ (レビュー)

ニックネーム: ムーミン2号 投稿日:2013/08/30

風のなかの~ 羽のように~

昭和20年3月17日に神戸は大空襲を受ける。
空襲の様子、間近に落ちる焼夷弾、避難するHと母親、燃え盛り家家を焼きつくす炎、それらの描写が生々しく迫ってくる。こんな空襲の様子を描いた作品で思い出したのは、今江祥智(イマエ ヨシトモ)さんの『ぼんぼん』だった。その作品中では(誰だったかが)収集していたSPレコードがダメになった話が印象的だったが、こちらでは土に埋めていた岩波文庫の束が空襲で焼けてしまい、その破片? がヒラヒラと蝶のように舞っているのをHが見ている。その時、Hの脳裏に浮かんだのが次の歌詞。
「風のなかの~ 羽のように~」…
上巻でうどん屋のにいちゃんがいつも歌っていてHも覚え、真似て歌い、またにいちゃんの部屋にこっそり誘われて聴かせてもらっていた歌だった。ヴェルディのオペラ『リゴレット』第3幕でマントヴァ侯爵というドスケベ貴族が歌う「女心の歌」の一節だ。(『リゴレット』の話になると長くなるので、ここではしない…。)
それがこの場面に妙に合うのが不思議な感じがした。

以前にこの作品を読んだ時、少年Hも疎開したように読んでいた。それは、ワタシの故郷にある誠之館中学(せいしかん、現在は広島県立福山誠之館高校)に行った件を記憶していたからで、Hは疎開の上その中学に転学しようとしたのだが、どうも校風が合わないと感じて1日もそこに通わず、母の郷里(広島県深安郡御幸村)からも神戸へ帰ってしまっていた。誠之館中学の元をたどれば、かの阿部正之公が福山藩主時代に建てた藩校であって、ワタシが高校へ進学する頃も、そして今も変わらずエリア第一の進学校だ。上巻では福山は神戸に比べると戦争の影がまだ薄い、という描写だったが、さすがにこの頃(昭和20年)になると戦争の足音が地方都市にまで忍び寄っている様子が伺える。
疎開といえば、疎開対照は小学3年から6年生でHの妹の好子はすでに母の実家に行っていた。広島で原爆の語り部の方にお話しを伺った際、その学年の児童の被害が少ない代わりに、小学2年生以下の幼い子、そして勤労動員(例えば建物疎開のために動員)されていた中学1年以上が多く被爆し亡くなったそうだ。『はだしのゲン』の作者・(故)中沢啓治氏も当時小学校1年生だった。

そして終戦を迎える。Hの家では父親の物の見方も影響していたか、玉音放送もそんなもんか、だったが、案外と周囲の人たちもすんなりと受け入れていることにHも驚いている。どんなに新聞が空襲の被害は僅少、などと大嘘の報道をしても多くの家ではそれを鵜呑みにはしていなかったようだ。そんな様子が描かれていて、興味深い。
しかしHは次第に精神を病んでいく。それまで「お国のため」「天皇陛下万歳」で流れていた川に一人棹をさして流されまいとしていたHは、今度は一気にデモクラシーに流れを変えた周囲にやはり棹差してしまい、心のバランスを崩しかけて自殺までしようとする。一方あれだけ透徹した物の見方ができていた父親も、どことなくうわの空になってHをガッカリさせることが重なってくる。
その内二人ともそこから抜け出すのだが、昭和20年という年は、それほどまでに大変な年であったことが伺われた。

またしても映画の話となって恐縮だが、映画は原作をあまりいじることなく作られていることがよくわかった。もちろんすべてのエピソードが映画化されているわけではないが、大幅に変更されることなく上手く作られていた。繰り返しになるが、水谷豊さんの演技にはほとほと感心した。焦土と化した神戸の街を茫然と見渡す表情、無気力になってしまった戦後の一時期の魂が抜けてしまった一人の人間の心情、それらを素晴らしく伝えてくれていた。
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