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本 始祖鳥記

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本-始祖鳥記
著者: 飯嶋和一 (著)
定価 ¥750(税込)
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商品情報

出版社名
小学館
シリーズ名
小学館文庫
発行年月
2002年 12月
ISBNコード
9784094033113
版型
--
ページ数
509P
平均評価
(5)
: 2件
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: 0件
ブクレポ
3件

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飯嶋和一 OFF

内容紹介

空前の災厄続きに、人心が絶望に打ちひしがれた暗黒の江戸天明期、大空を飛ぶことに己のすべてを賭けた男がいた。
その“鳥人”幸吉の生きざまに人々は奮い立ち、腐りきった公儀の悪政に敢然と立ち向かった―。
ただ自らを貫くために空を飛び、飛ぶために生きた稀代の天才の一生を、綿密な考証をもとに鮮烈に描いた、これまた稀代の歴史巨編である。
数多くの新聞・雑誌で紹介され、最大級の評価と賛辞を集めた傑作中の傑作の文庫化。

※本データはこの商品が発売された時点の情報です。

著者情報

飯嶋 和一
1952年、山形県生まれ。1983年、『プロミスト・ランド』で小説現代新人賞受賞。88年、『汝ふたたび故郷へ帰れず』で文芸賞受賞

ブクレポ  ( ブクレポについて

ニックネーム: クロニスタ 投稿日:2013/07/03

キテレツ斎のモデルか?

安政6年(1859年) 山の峰から一里半(約6キロ)を大凧(グライダー)で飛んだ男がいた。リリエンタールのグライダーより32年も早い。しかしその快挙は賞讃されず、怪しげな術をつかう者として囚われの身に。そして死ぬまで座敷牢に閉じ込められ、しまいには狂ってしまった…

というのが「キテレツ大百科」の第1話に載っている「キテレツ斎」の話。


藤子・F・不二雄氏は、たぶんこの小説の主人公「浮田幸吉」の逸話を知っていて、キテレツ斎のエピソードとして採用したのだろう。キテレツ大百科の雑誌連載は、いまから40年くらい前。「浮田幸吉」は日本人の99%は知らないと答える、とんでもなくマイナーな人物だと思う。それでも藤子先生は知っていたわけで(あくまで推測)、つくづく博学な方だったんだなあ、と今さらながら感動している。


幸吉は1757年、岡山の八浜にある旅宿桜屋の当主浮田瀬兵衛の3男1女の次男として生まれた。7歳で傘屋に奉公に出て、14歳で岡山城下の紙屋に移った。持ち前の器用さを発揮し、表具師としてメキメキと頭角を現し、腕の良いものだけがその格を得る「銀払い」の表具師として、金銭的にも富んでいく。そのまま一生つつがなく暮らしても、誰からも羨まれる境遇だったに違いないが、幸吉にはある夢があった。

鳥のように空を飛びたい。


彼は夜な夜な、自らが拵えた大凧を持って、橋の上から飛び降り、試験飛行を繰り返す。失敗つづきで勢いよく川に落ちるので、大きな音で人に気づかれるが、なにせ暗闇だから「身投げだ!」とか「酔っ払いが落ちた!」「河童が出た!」などの噂だけが広まる。水死人が浮かぶわけではもちろんないので、みな不思議に思う。そのうち幸吉の広げる大凧の影を見る者も現れるが、まさか鳥の真似ごとをしている人間がいるとは思わないから、これは鵺の仕業に違いない、と人々が口にするようになる。


鵺はお上の政治が乱れたときに現れるとされる妖鳥だ。、人々は鵺の出現に世直しの気運を高める。幸吉の思惑とは別に、幸吉の行為はお上にとっては体制批判を扇動する危険な行為に映った。


そしてついに彼は人々を扇動した危険人物として捕らえられてしまう。

さあ、その後の彼の人生は如何に! キテレツ斎のように狂死してしまうのか…


実はここから物語は面白くなる。


でも、これ以上ネタばらししたくないから書かない。


ラストはとても感動した。この後の幸吉の人生の紆余曲折も全て、このラストへと収斂されていくための艱難辛苦だったんだと思うと、涙腺が緩んだ。


男は夢を追い続けることに憧れるが、ほとんどの男はできない。だから夢を追い続ける男に自らの夢を投影させる。
最後まで読んだ人には、たぶんこの意味がわかると思う。











ニックネーム: ランピアン 投稿日:2012/01/09

〈幻〉を視る男

天才と呼ばれる人間がいる。彼らは日常生活の向こうに、この世界を超えた「何か」を視て、それを形にしようとした人々である。では、特に世に知られることもなく、黙々と仕事をし、結婚し子を生して、ただ年老いて死んでいく平凡な人々、彼らはそうした「何か」を視ることはないのだろうか。そんなことはあるまい。平凡な人々も含め、なべて人間は「何か」を視るのだ。その「何か」を仮に<幻>と呼ぶならば、人類の中には時折、<幻>をより強烈に、鮮明に視る人間が生まれてくる。平凡な人々は、自らの<幻>を彼に託し、憧れをこめて彼を〈天才〉と呼ぶ。

〈天才〉や〈英雄〉とは、そうした平凡な庶民の願望と憧憬が生み出すものでもあるのだ。本書はこうした天才の一人だったかもしれない男であり、江戸後期に日本史上初めて空を飛んだといわれる人物、備前屋幸吉をモデルに描く歴史小説である。著者飯嶋和一の著作に初めて接したのは十年ほど前、歴史小説『神無き月十番目の夜』だった。「江戸初期、北関東でひとつの村が地上から消えた」という惹句から、一種の歴史ミステリーと早合点して読んだのだが、あにはからんや、戦国から江戸時代への過渡期を舞台に、大地に根ざす農民と、彼らの世界に画一的、計量的な制度を持ち込もうとする支配者との相克を描いた骨太の歴史小説で、安易な好奇心で手に取った不明を恥じる面白さだった。

飯嶋はその後の『雷電本紀』において、閉塞的な社会に生きる庶民が視た〈幻〉と、その〈幻〉を体現する天才を描くという作風を確立するが、本作もそれと同様の構図のもとにある。備前国八浜に生まれた幸吉は、城下屈指の表具師である叔父に弟子入りし、若くして一流の職人となるが、充実しているはずの日常の中でふと脳裏を過ぎるのは、幼い頃郷里の海で視た異国の風景―実は蜃気楼だったのだが―だった。

そして幸吉は、ひょんなことから空を飛びたいという情熱に取り憑かれ、自作の凧で実験を始めるのだが、その行為は思わぬ波紋を呼び、幸吉はその波乱に満ちた生涯へと、否応なしに追い立てられていく。表具師といえば書画の掛け軸や障子、襖を作る職人であり、それが空を飛ぶこととどう関係するのか不思議だったが、表具師は木や竹、紙を自在に操り、しかも書画を扱うことから高い知的水準も必要とされる、いわば江戸期のエンジニアだったと知って納得。

また中盤の舞台となる諸国廻船や塩の流通についての描写も真に迫っており、その部分だけでも十分に面白く、執筆に先立つ飯嶋の周到な準備のほどが伺える。幸吉の伝記的事実は未だ不明の部分が多いようで、恐らく大部分が著者の創作によるのだろうが、常に日常を超えた何かに向かって駆り立てられる幸吉の姿には、平凡な生活を良しとする私の胸にも迫る何かがある。飯嶋の筆力ゆえだろう。

しかし、句読点の少ない硬質の文章がびっしりと詰まった本書は、著名な人物が殆ど登場せず、しかも当世流行の「わかりやすい」「感動的な」小説群とは対極にある点で、読者を選ぶ本だろう。店頭でページを繰ってみてから購入することをお奨めする。

ニックネーム: リリ 投稿日:2011/01/28

内容ですが、「備前屋幸吉」と…

内容ですが、
「備前屋幸吉」という江戸時代中期の天明期に実在した人物を軸にした物語。日本ではじめて空を飛んだとされる人物の生涯の物語。

第一印象からいうと、表紙が冴えません本だなと思いました。タイトルもいまいち。そして、小学館なのかと。受動的な道徳観。あまり手にとりたいと思わない表紙、装丁。しかも飯嶋和一という作家の名前もあまり聞かないですし、小説の作品もあまり多くない感じです。

が、俄然、良かったです。第一印象は破るためにあるものですね。評価が抜群に良いだけことはある本でした。全部読むのに、結構時間がかかりました。おおよそ500ページ、少し多い程度の量ですが、歴史小説特有の、その時代の用語がたくさん出てきて、それを読み砕くのに四苦八苦しながら、第3部構成のストーリーを読み終わりました。

活字読みがあまり得意じゃない方や歴史小説をあまり好まない方はなかなか読むのが大変に思うかもしれませんが、最後までたどりつければ、凄いという感情に取り付かれるのではないでしょうか。とにかく、練りこまれています。知識量が尋常じゃなく考証、考察が光ってます。

なにか踏み出したいと思う時によむべきですね。決断ってなかなか難しいことですから。他にも夢中になるって、すばらしいことなんだってことを知らされる思いでした。

宝は隠しておきたい気持ちにさせられる小説でした。
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