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本 陸王

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本-陸王
著者: 池井戸潤 (著)
定価 ¥1,836(税込)
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商品情報

出版社名
集英社
発行年月
2016年 07月
ISBNコード
9784087716191
版型
127×188mm
ページ数
588P
平均評価
(4.5)
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ブクレポ
2件

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池井戸潤 OFF

内容紹介

勝利を、信じろ。
足袋作り百年の老舗が、ランニングシューズに挑む。
このシューズは、私たちの魂そのものだ!埼玉県行田市にある老舗足袋業者「こはぜ屋」。
日々、資金操りに頭を抱える四代目社長の宮沢紘一は、会社存続のためにある新規事業を思い立つ。
これまで培った足袋製造の技術を生かして、「裸足感覚」を追求したランニングシューズの開発はできないだろうか?世界的スポーツブランドとの熾烈な競争、資金難、素材探し、開発力不足―。
従業員20名の地方零細企業が、伝統と情熱、そして仲間との強い結びつきで一世一代の大勝負に打って出る!

※本データはこの商品が発売された時点の情報です。

ブクレポ  ( ブクレポについて

ニックネーム: アーミー 投稿日:2017/08/15

大企業も真っ青! スカッとする結末を招くシューズ

久し振りの池井戸作品。
まーちさんもレポを書かれているが、
約600ページという長編にもかかわらず、
すらすら読める内容であっという間に読み終わってしまった。

埼玉県行田市で足袋作りをしている老舗の「こはぜ屋」が
地下足袋からヒントを得て、
足にフィットしてケガからの負担を軽減する
軽量で走りやすい新型のスポーツシューズ「陸王」を作り出した。
「こはぜ屋」の社長宮沢はこのシューズを、
足を痛めてマラソンを途中棄権し、今だに調整メニューをしている
ランナー茂木に履いてもらいたいと思っていた。
だが茂木の所属する企業には
専属のスポーツブランドのシューズ会社がついていて、
零細企業の足袋屋のスポーツシューズ業界進出を妨害し始める。

ブランドシューズ会社の上司と意見が合わずに
会社を退職した有名なシューフィッター村野が
「こはぜ屋」のアドバイザーとして加わり、
選手にとって良いシューズを作り出していく。
そして宮沢と就職問題で衝突していた長男・大地も
「陸王」のソール部分に使われる特許「シルクレイ」の生産を任され
それに伴う難問も自らの手で解決していくようなる。

零細企業の会社が主の企業小説だが、
小さな会社の生存をかけたヒット商品が
世に出るまでの苦労と喜びを描いたヒューマンドラマのようでもある。
敵対する大企業の横暴な横やりを覆す
スカッとする結末にホッとした。
一足の靴が商品化されるまでの
資金繰りから試作、製作の苦労が良く分かった。
そしてランナーとしてのアーティストたちの悩みも。

600ページの中に
なんと多くの人生ドラマが詰め込まれていたことだろう。
よく構成を練られた力作だと思う。
まーちさんがドラマで観たいと書かれていたが、
2017年10月から日曜劇場で映像化されるそうだ。
主人公宮沢は、役所広司さん。(うん、イメージ通りかな?)
これも今から楽しみである。

ニックネーム: まーち 投稿日:2016/07/17

小説より、ドラマにした方が面白そう。

この作品は、「のぼうの城」の舞台にもなった、埼玉県行田市にある、足袋製造業の中小企業の話である。行田市は、かつては、足袋の町だった。私の母の実家が行田にあり、私が幼い頃、母は、足袋の内職をしていた。そのため、この作品には、運命的なものを感じながら、読み始めたのである。

この作品、600ページ近い大作なので、内容を書き始めると、ものすごく長くなってしまうため、話の流れを書くにとどめたいと思う。


足袋製造業を営む老舗「こはぜ屋」は、足袋の需要が激減するのに伴い、経営状態が悪化していた。社長の宮沢は、取引銀行の担当者のアドバイスから、ランニングシューズという、新たな分野への参入を思いつく。開発には、さまざまな困難が生じたが、ソールに応用できる特許を持つ飯山、大手スポーツ用品メーカー・アトランティスと意見が対立して退社した、カリスマシューフィッターの村野らをプロジェクトに迎え入れることに成功し、製品化にこぎつけることができた。しかし、彼らをつぶしにかかるアトランティスの妨害工作や、機械の故障により、彼らが作り上げたランニングシューズ・「陸王」の生産ができなくなる危機に直面する。彼らは、「陸王」の生産を続けるための方法を見つけようとするのだが・・・


この作品、中小企業対大企業、大企業の嫌がらせ、という、池井戸さんの得意のパターンである。しかし、それだけで終わらせないところが、さすがという感じだ。
「陸王」の開発の話に、宮沢の息子・大地の就活問題を絡めているのである。それは同時に、父と息子の関係を描いた話でもある。
就職活動に失敗した大地は、「つなぎ」として、「こはぜ屋」で働きながら、就職活動を続けていた。父親である宮沢は、将来性のない会社を、息子に継がせたいとは思っていないようなのだが、大地の気持ちは複雑なようである。そんな気持ちが表れてしまうのか、就職活動は、うまくいかない。そんな大地だが、「陸王」のプロジェクトに関わることによって、仕事に対する考え方が変わっていく。そして最後に、彼が選んだ道とは・・・?


さらに、ランニングシューズの開発ということからも想像できると思うが、この作品では、マラソンや駅伝などの場面が描かれる。そのため、スポーツ小説的な面も持ち合わせているのだ。
「こはぜ屋」が、「陸王」を履いて走ってほしいと考えたのは、茂木という選手だった。彼は、箱根駅伝で名前を知られた選手だったのだが、故障のため、アトランティスのサポートを打ち切られてしまったのである。「陸王」を履いて、どん底から這い上がっていく姿は、「こはぜ屋」の運命と重なるようだ。


この作品、予想がつくと思うが、池井戸さんの某作品と、展開が似ている。そのためか、いまひとつ作品に入り込むことができなかったのだが、シューズ一足を開発するのが、どれほど大変かということや、スポーツ用品メーカーの内情を知ることができるとともに、レースの場面は、やはり感動的だった。


作品そのものが、ドラマの脚本のようであり、読んでいて、画が浮かんでくるような作品で、小説よりも、ドラマにした方が、面白いのではないかと思った。


人と人との結びつきの素晴らしさや大切さ、本当に苦しんでいる時に、去っていく者と支えてくれる者。素晴らしい人間ドラマだった。
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