ニックネーム:
darkly
投稿日:2017/06/13
安定感はあるが。
黒川さんの「疫病神」シリーズの最新刊です。ご存知の方も多いと思いますが、前作「破門」で直木賞を受賞しました。
主人公の二宮は自称建設コンサルタント。コンサルタントとは名ばかりで仕事内容は、建設がらみに介入してくる暴力団に困った建設会社からの依頼を受け、他の暴力団にその暴力団を抑えることを依頼する「サバキ」というもの。
二宮は選挙戦での票集めに関するトラブルを他の暴力団を使って抑える仕事を請け負ったが、相手が悪く、どこの暴力団も依頼を受けてくれない。仕方なしに桑原(疫病神)に依頼をする。桑原は前作「破門」で組から破門されており、形上は「カタギ」ということになっている。
二宮と桑原が動き出すと、直接関係のない暴力団から尾行されトラブルに。やがて、依頼された仕事には裏があることが判明し・・・
二宮のまったりとした日常が、桑原が登場することにより、にわかに動き出す。シリーズ特有の軽妙な会話のやり取りを挟みながら、段々と物語は加速し、一気にクライマックスへ。
ただ、最後にもう一波乱あるのかと思いきやあっさりと終わる。ちょっとがっかり。それでも話の作り方はうまいなあと思います。なんといってもキャラがいい。二宮や桑原も当然ですが、脇役についてもそれぞれ魅力的です。
ちなみに喧嘩(ステゴロ)とは、素手での喧嘩のことです。そして桑原は滅法強い。このシリーズがまだまだ続きそうな結末になってます。
私は基本的に物を考えるのが好きなので、読む本も割とそういったものが多いのですが、たまにこういう何も考えずにジェットコースターに乗ったようにラストまで作者に持って行ってもらうみたいな小説が読みたくなります。