ニックネーム:
ムーミン2号
投稿日:2016/02/26
一つの心に
死んだ犬に代わってお父さんがプレゼントしてくれたのはチェロだった。
チェロの教室に、ある日新しく女の子が入ってくる。
ぼくより難しい曲を弾くけど、なんだか怒ってるみたいだ。
帰りがけ、その子がぼくに声をかける。「あんたのチェロの音って、犬の声みたいだね」
公園で二人、一緒にチェロを弾いたり、遊んだり。
ある日、たくさんのチェロを抱えた人たちが同じ方向に向かって歩くのに出会う。
ついて行ってみると、神戸の大震災で被害に遭った人たちを応援するコンサートなんだそうだ。
そう、参加者のおじいさんが教えてくれた。
その女の子はすぐに申し込みをする。
ぼくも遅れて申し込む。
そしてみんなで一緒に弾き始める。
おじいさんも神戸で震災に遭った。今持っているチェロは震災で亡くなった友人の形見だ。
女の子の出身も神戸。
ぼくのチェロは、だんだん犬のなきごえじゃなくなってきた。
女の子のチェロも、少し丸みがでてきたようだ。
ぼくは支援コンサートに向けてチェロを弾く。ぼくの音が何かの応援になるんだろうか、と思いながらも毎日弾く。何に向かってこんなに練習しているのかわからないけど、弾く。
女の子やおじいさんが、何を思いながら弾いているんだろう、とも考える。
そして、コンサート当日。1000人のチェリストが集まった。
それを見守る何千、何万の目と耳。
チェロを弾く女の子のまわりには鳥が舞う(震災のあと、その子は飼っていた鳥をにがしていた)。
おじいさんは夕焼けに目を細めるように、静かに微笑みながら弾いている。
ぼくは犬を抱くように演奏する。
1000のチェロは1000の物語を語るが、それが一つの曲になっている。一つの心になったんだ、と感じる。
自然と涙が流れる絵本だ。
ニックネーム:
Aoki
投稿日:2011/06/10
作者のあとがきのなかに 「ひ…
作者のあとがきのなかに
「ひとりひとりの物語がちがっても きもちを重ねあわせれば 歌はひとつになって 風にのる。そして きっとだれかにとどく」 とある。
阪神淡路大震災の復興支援のコンサートの様子を絵本化したものだが、東日本大震災から数ヶ月の昨今にも同じく語り、響く。
何処から、何から手を付けてよいのかわからない現実に立ち竦むのだが、ひとりひとりの小さく微かな希望でも、重なり合わされた時に大きなひとつとなって届くのだと励ましてくれる一冊。
ニックネーム:
hi2515
投稿日:2011/02/26
とにかく絵が美しい!!!…
とにかく絵が美しい!!!
風景や人をこんなタッチで描けるとは(感嘆。。。)
今、NZの地震でまだ救出されない多くの人々を想いながら、阪神大震災で大きな痛手を受けた人々に届けたチェロのコンサートがとても素敵に感じます。
きっと私達にも何か出来る事がある。出来る事の小さな目を自分自身で勝手に摘み取らないよう日々生きて行きたい。