pagetop

本 月の満ち欠け

ほしい!に追加 twitter
本-月の満ち欠け
著者: 佐藤正午 (著)
定価 ¥1,728(税込)
BOOKFANポイント: 80 pt
or
Tポイント: 48 pt (Yahoo!ウォレット決済利用時)

商品情報

出版社名
岩波書店
発行年月
2017年 04月
ISBNコード
9784000014083
版型
--
ページ数
322P
平均評価
(4)
: 0件
: 2件
: 1件
: 0件
: 0件
ブクレポ
2件

新刊お知らせ登録一覧へ »

佐藤正午 OFF

内容紹介

欠けていた月が満ちるとき、喪われた愛が甦る。
第157回直木賞受賞。

※本データはこの商品が発売された時点の情報です。

ブクレポ  ( ブクレポについて

ニックネーム: ムーミン2号 投稿日:2017/08/05

瑠璃も玻璃も照らせば光る

直木賞受賞作。正しくは直木三十五賞、というのだそうだが、大衆小説作品に贈られる。
大衆小説と純文学を峻別する基準が何なのかは知らないし、その境界線がどこに引かれるのかも分からない。
従ってこの小説が直木賞に相応しいかどうかを判断することなどできないのだけど、そういう「肩書き」を全部取っ払ってみても、十分に楽しめるというか、入り込めるというか、ワタシの日常を考えてみることができるような小説だった。


タイトルの「月の満ち欠け」は、一度欠けた後、また満ちていく月のように、たとえ命を落としても、もう一度生まれ変わって愛しい人に会いに来ようとする、その意思の力を示している。
だから、一度ではない。二度でも、三度でも生まれ変わって、また会いにくる。
なぜなら、あなたを愛しているから。


瑠璃という女性が、三角(みすみ)と会い、既婚者でありながら彼と愛し合い、事故で亡くなる。
そしてこの物語の最初に登場する小山内という老境にさしかかった男性の娘の名が瑠璃であった。その瑠璃は、18の時に三角に会う約束をしながら、自動車事故で母親の梢(こずえ)とともに帰らぬ人となる。
そして今、小山内が東京ステーションホテルの2Fカフェで会っている緑坂ゆいの娘の名は「るり」、7歳。緑坂ゆいは小山内の娘・瑠璃の親友で、今は女優として活躍している。
本当はその場に三角も参加する予定だったが、来ていない。


物語は11時に始まり、午後の1時には終わりを迎えるのだが、その間に小山内の若い頃から現在までの時の流れが、小山内や三角や、三角と愛し合った瑠璃の夫であった正木、そして彼が心身ともに荒んだ後に雇われた工務店の若社長の娘・希美(のぞみ)の物語が挿入され、「月の満ち欠け」の実際を色濃く描き出している。


そして八戸に帰るべく東北新幹線のホームに向かう頃には、生まれ変わりは何も瑠璃だけではないはず、との緑坂の言葉に、妻と娘を事故で亡くした小山内と8年前から親しくしている荒谷清美と娘のみずき、特にみずきとの縁を考えていくようになる(妻の名はこずえ、そしてみずき と3文字の真ん中の字が「ず」であることを理由として)。
更に、緑坂るりは、ランドセルを背負ったまま、三角の会社を訪れ、追い出されそうになる時に、当の三角に助けられ「瑠璃さん、ずっと待っていたんだよ」と言ってもらえるのだった。


作中何度か出てくる「瑠璃も玻璃も照らせば光る」という格言というかことわざは、すぐれた素質や才能がある者は、どこにいても目立つというたとえ、ということなのだけど、運命の愛(オビの言葉)に導かれれば、人には愛する人がわかるということかも知れない。


もう、あとどのくらい生きられるのか、というようなことを考えるような年齢になってまで、「運命の愛」などというつかみどころのないものと、生まれ変わりとかいう怪しげなことと、瑠璃と玻璃とを頭の中でグルグルグルグルさせている自分が、とても年齢相応とは思えなく、そうは言いながら、なぜかちょっとドキドキしてしまうのはどうしてだろう。
(☆は4.5くらい…)

ニックネーム: こたろう 投稿日:2017/06/16

瑠璃も玻璃も

読み終わって、これはネタバレ必至だなとまず感じました。
内容紹介にありますが「戦慄と落涙」では私はありませんでしたが、かなり面白かったです。
謎が謎を呼んで、けれど描かれる場面はそれぞれが軽妙だったり愉快だったり、けして飽きないつい引き込まれてしまう、文章の力というか、そもそもありえない話を信じさせようとそんな意図で書かれた作品でしょうから、そのための工夫を作者は練り上げてきているわけです。


場面は八戸から東京へある目的でやってきた小山内という老境に入った男性が、親子連れと喫茶店で会うシーンからはじまります。娘は七歳。もうひとり三角という人が遅れているらしいのですが、その正体も会談の目的も明かされないまま会話は続いていき、それも妙にズレた印象なのです。


そして小山内の妻とのなれそめ、娘の誕生、そして原因不明の発熱とその後の奇妙な言動、などが記されていきます。その後、娘は知っているはずの無い昔の歌を口ずさんだり、アキラという名前をヌイグルミにつけたり、はたまた何か明確な目的をもって家出を繰り返したり、と特に梢という妻が心配する事態になります。
しかし高校を出るまで我慢するという、小山内との約束を守った瑠璃(言い忘れていましたが娘の名は瑠璃であり、その後もうひとり瑠璃が出てきて、冒頭で会っている七歳はるりです)は妻梢と高校卒業後車で出かけて事故死してしまいます。


そして物語は唐突に転換し、高田馬場のレンタルビデオ屋でバイトする三角君が体験した物語に移ります。
そこで雨の日、店の軒先に雨宿りした女性とたまたま話をし、濡れた髪をタオルがなくてTシャツを貸してあげた三角君。その日から惹かれだした年上のおそらく人妻らしき女性と再会を思いがけない場所で果たし、物語のそもそものスタートが切られます。


その女性が正木瑠璃なのでした。
彼女がこう話します。
「あたしは月のように死ぬ」と。


彼女が言うには
「神様がね、この世に誕生した最初の男女に、二種類の死に方を選ばせたの。ひとつは樹木のように死んで種子を残す、自分が死んでも、子孫を残す道。もうひとつは、月のように、死んでも何回も生まれ変わる道、そんな伝説がある」と。


瑠璃と名乗る女性は自分は月のように生まれ変わって、あなたと会うのだと、そう言うのでした。


「瑠璃も玻璃も照らせば光る」ということわざも効果的に使われていて、光が当てればきっとわかるとおもわせてしまう、そんな特定の想いを抱いて生まれ変わってくる人々をつい信じたくなるように作者は巧妙にていねいに、想いをこめて描いています。


「嘘()をほんとうに見せることに僕は魅(ひ)かれるんです。」


「明らかに嘘だから読んでいられない。そう思われたら、負けでしょう」


「冷静に考えれば、生まれ変わりなんて、あり得ない。それを面白く読ませるために、どう書くかなんです」
と作者は語っています。


人称を変え、文章のタッチを変えて、細かな仕草や印象的なフレーズをあちこちにちりばめて、嘘を本当に替えてしまう「言葉の錬金術師」の見事な成功作がここにありました。
うれしい全品送料無料♪全商品5%ポイント還元!<a href="index.php?module=ecrlist&action=plist&it=BK"target="_parent">▼新刊・予約はコチラ!</a>
ご注意!ラッピング、お届け日の指定は承れません!
大量一括注文窓口はこちら!
出版社共同企画!もれなく100ptプレゼント!
BOOKFANのツイッターをフォローする♪
BOOKFANキャラクター大集合!LINEクリエイターズスタンプ配信中☆
コミック全巻セットはこちら★
特集一覧へ
ジャンルランキング

小説・エッセイのランキング

コーヒーが冷めないうちに

川口俊和(著)


マスカレード・ナイト

東野圭吾(著)


陸王

池井戸潤(著)


ランキング一覧へ