pagetop
熱血会社員ひとみの教えて!○○!
Vol.9 教えて永井さん!「1000円でコーラを売る方法」って、なぁに?
ひとみの疑問

モノが安く買えるのは嬉しいけれど、私のように販売する立場からすれば、安売り合戦は歓迎できない。
価格を下げたり、クーポン券を配ったり・・・私は販売量を上げようと思うと、どうしてもお客様への直接的なメリットに頼りがちです。
価格競争に陥らないためには、どうすればよいのでしょうか?

100円のコーラを1000円で売る方法』の著者・永井孝尚さんに、100円のコーラを1000円で売るその極意、インタビューさせていただきました。

PROFILE

永井 孝尚(ナガイ タカヒサ)
日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業部シニアマーケティングマネジャー。1984年入社。
製品開発マネージャーなどを経て、現在はソフトウェア事業部でスキル育成を担当。
本業の傍ら、朝時間を活用して、書籍やブログを執筆するほか、早朝勉強会「朝カフェ次世代研究会」を主宰。

代表著

100円のコーラを1000円で売る方法
残業3時間を朝30分で片づける仕事術』など

座右の書

アイデアの作り方
良いアイデアを生むためには、多くの情報を集め、徹底的に考え、そして忘れること。忘れて潜在意識に任せれば、アイデアはシンプルな形で現れてくる。
この本は1940年にアメリカで出版され、1988年に日本でも出版された本です。
20代の頃に読み、仕事に大きな影響を与えた本です。


著者:永井さん インタビュアー:ブークス 大貫
最初の出版は自費出版です

発行部数17万部突破ですね!おめでとうございます。
まずは、この本の出版経緯を教えてください。

もともと、本を出したいという気持ちをずっと持っていて、2008年に『戦略プロフェッショナルの心得』というマーケティングの本を自費出版しました。
この本は、自分ひとりで書き上げ、ISBN※1も自分で取得して、自分でamazonさんに登録して販売した本です。

ISBNまでご自分で取得されたのですか。
完全なセルフ出版だったのですね。
総費用はいくら掛かりましたか?

60万円くらいです。
これなら、「海外旅行を我慢すれば、出版できるぞ!」と思いました(笑)。

確かに、60万円ならちょっと心が動きますね。

まぁ、本当のところは、商業出版をしたくてブログを書きながら、出版社さんから声が掛かるのを待っていたのですが、一向にオファーが来なかったのです(笑)。
まずは、自分で出版して、実績を作ろうと思いました。

この自費出版した『戦略プロフェッショナルの心得』をストーリー形式で学べるマーケティングの本として仕上げたのが、2作目の『朝のカフェで鍛える実戦的マーケティング力』という本です。

残念ながらこの本は絶版になってしまったのですが、この本をより分かり易い構成に変更し、事例も最新のものに書き換えたのが『100円のコーラを1000円で売る方法』なのです。

顧客中心主義が重要です

なるほど。
100円のコーラを1000円で売る方法』は永井さんが書かれた最初の2作が原型ということですね。

100円のコーラを1000円で売る方法

ええ。
編集者さんと相談しながら大分書き直しましたが、そういうことになります。

どんなテーマで書かれたのですか?

聞き慣れないと思いますが、カスタマー・マイオピア※2という言葉があります。

カスタマー・マイオピアとは目の前のお客さんの言っていることを何でも引き受けて、本当にお客さんが必要としていることに対応出来ていない状態を言います。
言うことを何でも引き受けるのではなく、顧客の課題に対して、自社ならではの価値を徹底的に考えて提供していくことが重要です。

つまり、「顧客中心主義」がこの本のテーマです。

例えば、お客さんの要求どおりに価格を下げるのではなく、価値を上げていくということですか?

そうです。
我々がそういうマーケティングを理解して活動できれば、日本の経済力はもっと上がっていくと思っています。
今は、長時間労働して、高品質でありながら値段を下げて販売。しかも、一所懸命働いていても給料は下がっている状況ですよね。
その状況から脱却するには、他とは違うやり方を考えて、新しい価値を生む必要があります。

この本はその考え方をとにかく、分かり易い表現で伝えることにこだわって書きました。
宮前久美という面白いキャラクターの主人公をつくり、彼女の成長物語としてストーリー形式で展開していく。
マーケティングに初めて触れる人に、とても分かり易い本になっていると思います。

皆さんにマーケティングをもっと知ってもらいたい

では、何年もマーケティング職に就いているような人が対象ではないということですか?

はい。
十数年、マーケッターとして活躍されている方やマネージメント経験が長い方が対象ではなく、もっと若い方を対象として考えています。
ペルソナ※3的に言うと、初めてマーケティング職に携わった主人公、宮前久美のような人です。

そういう若い方を対象にしたのは、皆さんにマーケティングをもっと知ってもらいたいという思いからです。
マーケティングというとコトラーとかポーターを連想し、少し難しく考えがちですよね。その敷居を下げたかったのです。
マーケティングに必要な知識をひと通り網羅しながらも、すんなり読める本。その点を意識して作りました。

先日、「マーケティングってすごく面白そうだから、大学はマーケティングを学べる大学に行きたい!」というコメントをある高校生から頂きました。
また、知人のお嬢さん(中学生)がこの本を読んでいたという話も聞きました。
そうやって、子供たちがマーケティングに興味を持ってくれるのも、すごく、嬉しく思います。

中高生ですか?
その年代でも読めるマーケティングの本というのは面白いですね。
他にはどういうコメントや感想がありましたか?

この本に関することをtwitter上で1日5人から10人くらいの人がつぶやいてくれていて、 合計すると、2000件くらいになります。
この本を読んでくれた方の生の声、素の声になりますので、大変に参考になります。
ほぼ、私が読んで欲しかった層の方が投稿されていて、自分の仕事に役立ててくれているようです。

一方で、若干ではありますが「すんなり読めすぎる」とか、「あっという間に・・・」というつぶやきもあります(笑)。
まぁ、そういう意図の本ですからね(笑)。

でも、逆にマーケティングのコンサルタントをされている方々は、「すごく深いことが書かれている」とコメントしています。
お客様の言いなりになってはいけないということを色々な言葉に変えて、コメントしてくれているのです。

価格競争からの脱却は本当に難しいことですが、ひとりでも多くの人が100円のコーラを1000円で売れるようになると嬉しいですね。

この本のテーマでもある「顧客中心主義」という考え方ですね。
同感です。

ドラマ化?

先日、永井さんのブログを拝見していましたら、続編の執筆のことが書かれていましたが、ご予定はあるのですか?

初稿は書き終えていて、この夏に出版する予定です。

そうですか!
宮前久美さんの成長が楽しみですね。
ブログにはドラマ化の話も書かれていましたが?

ドラマ化は実現したらいいですね!勝手に内輪で盛り上がっています。
主人公の宮前久美が菅野美穂さんで主演、その上司が佐藤浩一さん(笑)。
このキャスティングは、どなたかが読売新聞の書評で書いてくれていたんですよ。
でも、私の希望は、観月ありささんが主演なんですけど。そんなことを勝手に妄想しています(笑)。

賛成です。僕もドラマ化を妄想しておきます!
本日は有難うございました。

インタビュー後記

「価格を下げずに価値を上げる」という考えは、安売り合戦を回避したいと、日頃から思っていた私にとって、とても印象に残るものでした。
日々悩んでいるマーケティング職の方々も、永井さんのインタビュー、そして本書を読んで「マーケティングって難しい」から「マーケティングって難しいけどおもしろい!」という前向きな気持ちへ変わっていければと思います。
まさしく、今の私にピッタリな永井さんの『100円のコーラを1000円で売る方法』ですが、主人公の宮前久美のように仕事的、内面的に成長できたらいいな。

※1:世界共通で図書 (書籍)を特定するために使用されている番号
※2:customer myopia:顧客近視眼
※3:データを基に架空のユーザーを設定するマーケティング手法。典型的な顧客像。


1000円でコーラを売る方法とは? ~永井さんから学んだこと~
  • マーケティング知識を習得して、自分の仕事の「質」を変えていくこと
  • 顧客近視眼にならずに顧客の課題に対して、しっかりと向き合うこと
  • 自社ならではの価値を徹底的に考えて提供すること

100円のコーラを1000円で売る方法
マーケティングがわかる10の物語


永井孝尚 (著) 出版社:中経出版

新人商品プランナー・宮前久美が挑んだのは、「Appleにできて日本企業にできない壁」だった。
彼女は日本が抱える課題―「高品質・多機能。でも低収益」から脱却できるのか?
コトラーからブルーオーシャン、キャズム理論まで1冊でつかめる。