
そもそも、どうしてそこまで「おじさん」に興味を持ったのですか。
きっかけは、高校の美術の先生が開いた個展です。
個展終了後、どこからともなく、おじさん画家がたくさん集まってきて、宴会が始まりました。
本当に、タイプや年齢の違うおじさんがたくさんいて、みんな楽しそうにお酒を飲むんです。
お互いを認め合う感じで、すごく楽しそうで。
若い人は同じタイプの人同士で群れるんですけど、おじさんって違うんだなって。
それを見ていて、「いいなぁー」って。「大人ってかっこいいなぁー」って思いました。その時からです。
高校生からですか?すごい!
それで、武蔵野美術大学に入ってからもおじさんが変わらず好きで、卒業制作もテーマはおじさんにしたんです。
タイトルは「おじさん考現学」。
山手線の各駅に出没するおじさんを観察して、100人以上のおじさんを描き上げました!制作期間は3ヶ月です。
・・・。
卒業制作が「おじさん」ですか・・・。
そうなると、この『おじさん図鑑』は、なかむらさんのおじさん記録集大成ですね。
そうです。
でも、書籍化を意識して企画を始めたのは5年前からです。
5年前、編集者の小林さんが小学館さんの企画会議に『おじさん図鑑』を提案してくれました。
小林さんは大学の友人なのです。
私が小学館に入ったのが5年前で、入社したばかりの新人が、無名な著者の、しかもテーマが「おじさん」という企画ですから、なかなか通りませんでした。
「おじさんのイラストなんて、誰が買うんだよ?」そんな感じです。
普通、採用されなかった企画は二度も提案しないのですが、しつこく、3年間、毎年、少しずつるみくん(なかむらるみさん)と内容を濃くしていって、提案し続けました(笑)。
それでやっと2年前に企画が通って、具体的な作業が始まったのです。
2年間で、おじさんの写真は1万枚くらい撮りました!
それで、やっと、2年前に企画が通って、具体的な作業が始まったのです。

ご、5年?
この図鑑は企画開始から5年ですか?しかも、1万枚の撮影?
すごいですね。でも、わかります。
この図鑑、イラストも文章表現も一つひとつがすごく丁寧で、一人ひとりおじさんの性格がしっかり伝わってきます。
まさしく、おじさんへの「愛」が成せる業ですね。
ところで、この書籍をなかむらさんはどういう人に読んでもらいたいのですか?
実際、買っていただいている層は20代から50代までと広いんですが、特に若い人達に買ってもらいたいと思っています。
例えば、仕事ができる若い人ってたくさんいるんですけど、若い人って、調和を保とうとして、はっきりと自分の意見を言える人って少ないんです。
でも、「おじさん」って、強いというか自由というか…。
たまに、傲慢だったりするんですけど、「芯」があるんです。
そういう「おじさん」の魅力を『おじさん図鑑』を通して、若い人たちに感じてもらえると嬉しいです。
なるほど。だんだん、若い人が「おじさん」を見るポイントが分ってきました!
若い人が「おじさん」の魅力を理解すると、仕事もすごく進めやすくなるんでしょうね。
なかむらさんには、『おじさん図鑑』の中で最高の「おじさん」っていましたか?
私は、特定の「おじさん」ではなくて、「おじさん」という存在そのものが好きなんです。
わたしにとっての「おじさん」は、年齢で言えば55歳以上で、ひとつの仕事をやり遂げた感があり、さらに、別の世界や、夢もあって。
そういう私にとってのいい「おじさん」を集めたのがこの本なんです。
まだ、借金がたくさんあって苦しいとか言ってるのに、「おれ、いつかハワイに住むんだよ!」と笑いながら夢を話す「おっちゃん」。
強くて、自由で、すごくいいですよね。

『おじさん図鑑』は著者のなかむらさんと、編集の小林さんの5年間の思いが込められた渾身の一冊だということが良くわかりました。
ひとみちゃん、若い人から好かれる「おじさん」像もわかったし、8年後の自分が楽しみだよ!
・・・。

- 「おじさん」の魅力は、経験から培った「大きさ」「強さ」、そして肩に力が入っていない自由さにあること!
- 「おじさん」の魅力を知り、上手くコミュニケーションを取れば、自分の仕事もスムーズに進む!
- 自由でダサカッコイイ「おじさん」が世の中にはたくさんいること!
